書くのが苦手で嫌いだった私が、なぜ書けるようになったのかビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

意外なポイントにさえ気付けたら、スラスラ文章が書けるようになる。

» 2020年12月10日 07時07分 公開
[上阪徹ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


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どうしてこの本を書いたのか

『文章の問題地図』

 もう26年にわたって文章を書く仕事をしている、ということもあると思うのだが、一般のビジネスパーソンから、文章にまつわる、こんな悩みや質問をもらうことがよくある。

「とにかく時間がかかる」

「書くことがない(研修の感想文などで)」

「構成がうまくできない」

「長さにひるむ」

「手戻りが多い」

「読みづらい(といわれる)」

「伝わらない、刺さらない」

「言葉づかいがひどいと指摘された」

 この悩みを章のタイトルにして、それぞれに解決案を提示し、1冊の本に仕上げた本を刊行した。『文章の問題地図』(技術評論社)だ。

 本を40冊以上も出していて、自分の本のみならず他の経営者の本などの執筆も手掛けていて(私はこの仕事をブックライターと名付け、100冊近く書いている)、さらに雑誌やWebサイトでたくさんの記事を書く日々を私は送っている。

 こうなると「子どもの頃からさぞかし文章を書くのが得意だったんでしょうね」「文章を書くがお好きなんですね」といわれることになるのだが、事実はまったく異なる。これは高校時代、大学時代の友人たちはよく知っているのだが、まったくそんなことはないのである。

 受験科目も国語が苦手。小論文のある大学は速攻で受験校から外した。お恥ずかしながら大学のときのレポートなどは、資料をそのまま書き写していた。書くのが苦手だったからだ。中学の頃も小学校の頃も作文は大嫌いで、何よりも嫌いだったのは、読書感想文。そう、私は読書も嫌いだったのである。

 書くことはもちろんのこと、読むことすら嫌いだった。そんな私が大人になって、文章を書くことで生計を立て、しかも人の本の執筆をお手伝いするようになるなどとは、本当に夢にも思わなかった。

 実際、キャリアのスタート時点でも、私はまったく書けなかった。バブル期だった大学時代は、広告産業が華やかな頃。当然、業界大手に潜り込むのも最難関。鼻っ柱だけは強かった私は、まずそんなところから広告の世界に興味を持つことになった。

 そして大学3年のとき、運命の映画に出会う。それが『CF愚連隊』。後に主演の佐藤浩市さんに取材したとき、「佐藤さんのおかげで文章を書く仕事をすることになったんです」と告白して佐藤さんを驚かせてしまうことになるのだが、この映画に感動した私はCMや広告の世界に入ることを自分で決意したのである。

 だが、就職活動で玉砕。アパレルメーカーに入社したが、1年半でリクルートが新しく広告制作会社を設立するという求人広告に出会う。その採用試験に合格し広告の世界に入ることになった。

 「文章が嫌いだったのに広告とは?」と感じる人もいるかもしれないが、広告の文章は書くというより、言葉を見つけるものだと思っていた。キャッチコピーはせいぜい数行。文章を書くことになるなどとは思わなかったのだ。

 ところがリクルートグループに入ったことが、私の運命をまた変えた。携わることになったのは、採用広告。カッコいいフレーズを1行作ればいい、という仕事ではなかったのだ。会社の魅力を、きちんと文章で伝えなければいけなかった。

 かくして苦手で嫌いだった文章と、格闘することになる。それこそ当時は、300文字書くのに1日かかっていた(今は1日3万字書くこともある)。そんな私がなぜ、文章を書けるようになったのか。書くことで苦闘している間に、大きな気付きを得ることになったからである。

 おそらく、文章が得意だったり好きだったりしたら、これはきっと気付けなかったはずだ。そして、ここに気付けたからこそ、後に20年以上にもわたってフリーランスとして実績を積み上げることができた。そう確信している。

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