いまを知るためには、まずはテレビやネットのニュースからインプットし、自分で学ぶことが必要。体系化された学びは書籍が有効だが、現在最強の学びのツールはネット検索である。ただし興味のある情報ばかりをインプットすると偏ってしまうので、自分以外の人達と交わることで新しい情報をインプットし、自分なりに考えて「学び力」を向上する。
自分自身が変化するうえで、重要なのが自分で経験したことをアウトプットすることである。インプットしたことを、人に説明したり、記事にまとめてみたりすることで理解を定着させることができる。アウトプットを繰り返すことで、自分がどのように変化しなければならないかが見えてくる。
アウトプットを続けると失敗することもあるが、失敗することも大きな糧になる。インプット、アウトプットは、1人ではなかなかモチベーションが続かない。そこで人とつながったり、誰かに頼ったり、頼られたりすることが学びを続けるうえで重要になる。
鎌田氏は、「私自身、サイバーセキュリティの分野には強いのですが、法律の分野は法律に詳しい人に、経営の観点が必要な場合は経営者に頼っています。逆にサイバーセキュリティの観点で、ほかの人から頼られることもあります。アウトプットにより、自分の理解が深まり、新しい観点に気付くこともあります」と話している。
サイバーセキュリティに落とし込んで考えてみると、(1)1人でもできる情報収集、(2)社内外の人とかかわる、(3)アウトプットする、(4)未来の予測とフィット&ギャップの4つの視点がある。
(1)1人でもできる情報収集
SNSやブログ、ニュースサイトなど、自分の興味のあることから広げる。1日5分でも少しずつ見ていくことで、いろいろな観点で学べる。情報収集の方法についてはさまざまな有識者が自分のやりかたをネットで公開しているのでそれらが参考になる。
(2)社内外の人とかかわる
簡単なところでは、オンラインセミナーに参加してみる。大きなイベントでは世の中の動向や情勢が、小さなイベントではより詳しい、具体的な情報が得られる傾向にある。ほかの人たちがどんな情報収集をしているのかを聞くなど、さまざまな価値に触れることで、多様な視点を身に着けることができまる。
サイバーセキュリティ以外の国際情勢や経済動向などの情報をインプットすることや、コミュニティー、オンライン勉強会に積極的に参加して、どこで、どんな被害が出て、どんな攻撃をされ、どんな最新情報があるかを知ることも必要だ。英語や他の言語も学べば海外の最新情報を得ることもできる。
(3)アウトプットする
SNSなどでサイバーセキュリティに関する情報を発信したり、勉強会を企画したりする。最初は誰も見てくれなくても、情報発信をすることが重要。人に説明するために、頭の中を整理する場合、俯瞰図を書いてみることが有効になる。人に説明したり、誰かと議論したり、アウトプットすることで自分の理解も深まる。自分のアウトプットが周りの人たちが変化するきっかけにもつながり、結果として組織の変革が起こり始める。
(4)未来の予測とフィット&ギャップ
インプットとアウトプットができるようになることで、内外の現状把握ができるようになり、自社のサイバーセキュリティに足りないものが見えてくる。セキュリティ対策には、正解もゴールもないことも理解しておかなければならず、ベストではなくベターを目指すことが必要になる。
鎌田氏は、「時代に合わせて変化するためには、いまを知り、アウトプットしてこの先を予測する、身近な同質の人や遠くの異質な人とも関わる、ギャップを明らかにして俯瞰し、それを埋めるための策を練る、必要なアクションアイテムを細分化して実行するというサイクルを高速に回し、このスピードを会社共通の価値観にすることが重要です」と話し講演を終えた。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授