時代の流れに変化適応し続ける「強い会社」とそうでない会社。あからさまな判断ミスをしているわけではないのに、徐々に「企業力」に格差が広がる場合がある。なぜ格差が広がるのか。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
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私は、リクルートで組織人事コンサルタント、ファーストリテイリングで執行役員人事総務部長、ソフトバンクでブランド戦略室長などを経験した後、会社をつくり、現在、経営コンサルティング、組織人事コンサルティングを行っています。多くの会社の経営や組織風土の改革を支援するなかで、たくさんの事例を見てきました。
時代の流れに変化適応し続ける「強い会社」とそうでない会社。
その差は、もちろん経営者の判断力などによるところも大きいですが、あからさまな判断ミスをしているわけではないのに、徐々に「企業力」に格差が広がる場合があります。とくに、外部環境の変化が激しい現在では、その傾向は顕著です。
外部環境の変化の影響は、まず現場に現れます。変化は現場で起こるのです。
変化の芽を、現場の社員がキャッチする感度、それを上に伝える主体性、新しいニーズをつかむために新しいことに挑むチャレンジ精神。どれをとっても「やる気」のない社員の集合体では、実現できません。「企業力」格差の原因は、結局「モチベーション」の差にいきつくのです。
多くの企業は、社員のモチベーションを高めることばかりに意識が向きがちです。
「ES(Employee Satisfaction:従業員満足度)調査」や「エンゲージメント(愛着心・つながり)・サーベイ(調査)」を実施して、社員のモチベーションをどう高めるかを考えている会社も多いと思います。
社員のモチベーションが高い会社の話を聞いて、そこで実施されている施策を、すぐに導入しようとした会社もあるかもしれません。
もちろん、それ自体は大事な取り組みです。しかし、会社がモチベーションを上げようと、どんなにいろいろな取り組みをしても、無意識のうちに職場でモチベーションを下げるようなことが日常行われているとしたら、モチベーションを高めるための取り組みは効果を発揮するでしょうか?
期待を胸に参加した新人歓迎会で、「なんで、うちなんか選んだの?」と聞かれた言葉が、心のどこかに引っ掛かってしまった。
「まあ、すぐに給料が上がるわけじゃないから、最初からそんなに頑張らなくてもいいよ」と肩に力が入った新人が息切れしないようにと気遣ったつもりの発言が、新人にとってはやる気を否定されたように感じてしまった。
忙しい毎日のなかで、毎回指示されることがコロコロ変わり、上司や先輩への不満がたまっていってしまった。
頑張って営業成績を上げたのに、成績が振るわなかった同期と評価も待遇もほとんど変わらず、なんだか「やる気」がなくなった。
人が「やる気」を失っていく場面は、じつは日常のあちこちに転がっています。このように、上司や周囲との関わりや、会社の制度・処遇などの影響によって「やる気が下がってしまう」ケースも少なくないのです。
いかにして社員の「やる気」を高めるか、モチベーションを上げるための研究や施策は数多くの本でも語られています。
しかし、その前に重要なのは、まずモチベーションを下げないことです。先述したように、「やる気」は周囲の環境や関係性のなかで、上がりもすれば下がりもします。極端に言うと、下げる要因を取り除いていけば、勝手に「やる気」は上がっていくのです。
まずは自社の状況を把握して、モチベーションを下げる要因=「やってはいけないこと」をしないようにするほうが、優先順位は高いのです。
モチベーションを高める方法は無数にありますが、「やってはいけないこと」には共通するパターンがあります。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授