主に今の自分のキャリアを巡る「もやもや」を何とかしたいと思っている人が、その「もやもや」にどう対処し、どう突破するのかを、越境をヒントに解き明かしていく。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
近年、VUCAという言葉に代表される社会の変化が、過去の延長線上では考えられないほど劇的で大きなものになってきています。日本は既に“安い国”になってしまい、経営者にとって失われた30年を取り戻すのは大変です。意外な競合が表れたり、コスト競争に巻き込まれたり、為替レートの急変で対応を迫られている人も多いでしょう。正に「もやもや」していると思います。
また、さまざまな情報が瞬時に手に入る現代、社員の多くが外部環境の急速な変化を感じているはずです。彼らの、「なにかしないとまずいかな?」という「もやもや」は、日本的雇用慣行の機能不全と相まって、じわじわと加速しています。「もやもや」していない社員はいないと言っても過言ではないでしょう。
この「もやもや」の正体は、狭い日本で特に不満や不安なく仕事をしてきた自分と、このままではまずいという危機感を持つ自分との相克です。そして、この「もやもや」を晴らす鍵を握るのが、居場所を移す行為である越境です。現状とは異なる何かしらの状況に自分自身を移した時に、人は変化し成長します。それは経営者でも社員でもしかり、です。
本書では、主に今の自分のキャリアを巡る「もやもや」を何とかしたいと思っている人が、その「もやもや」にどう対処し、どう突破するのかを、越境をヒントに解き明かしていきます。自分や会社に対してさまざまな「もやもや」を持つようになる、入社7〜10年目位の中堅社員をイメージして書いてあります。
「もやもや」を突破するための越境方法を10に分類しました。経済活動に関する7つの越境と、社会生活に関する3つの越境です。それぞれ、難度が低い順から紹介しています。
1、個人内越境 ― 自分と向き合い、「もうもや」を突破する
2、企業内越境 ― 自分の仕事の「もやもや」を、会社の中で突破する
3、企業間越境 ― 今いる会社の「もやもや」を、企業間を越境し突破する(ただし転職自体は扱わない)
4、職種間越境 ― 今の職種に関する「もやもや」を、職種自体を変えることで突破する
5、業種間越境 ― 所属する業種・業界の「もやもや」を、業種を越えることで突破する
6、産学官越境 ― ずっと会社員でいいのか? の「もやもや」を、学や官の世界への越境で実現する
7、労使間越境 ― 経営者になれるかな?の「もやもや」を、経営を考え、実践することで突破する
1、世代間越境 ― 職場以外の世界に関する「もやもや」を、世代間交流で突破する
2、 地域間越境 ― 今住んでいる場所に関する「もやもや」を、実際に住む場所を変えて突破する
3、国家間越境 ― 日本を巡る「もやもや」を、バーチャル・リアルで国境を越えて突破する
紹介している越境方法は、すぐに実践できるものもあれば、ある程度準備と覚悟が必要なものもあります。ただ、全ての越境活動を通して、得られることがあります。まず、【新しい知識の獲得】です。越境して今いる世界とは異なる場所に身を移すと新しい知識が得られます。越境先の人たちとのコミュニケーションで、【モノの見方の転換】が進みます。イノベーションの主要概念である【新結合】は何かと何かをつなげることですが、越境と極めて親和性が高いです。また、異なる世界との交流で、【ネットワーク】、つまり新しいつながり・人脈が生まれます。その過程で、【対人対応スキル】が身につきます。人と対話して“もがく”のです。そして、新世界での【ワクワク感】も得られることでしょう。このように、越境で得られることはたくさんあるのです。
私は1986年4月に、リクルートに入社し、現在はリクルートマネジメントソリューションズに所属しています。仕事は、自社の採用業務・顧客の採用支援や就職ブランド開発・人事課題解決・人事コンサルティング部門の創設及び営業・経営理念浸透支援・次世代リーダー開発支援・イノベーション領域の事業開発と、外部環境の変化とともに変わってきました。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授