上司は、自分が動くことが仕事ではなく、人を動かし組織を動かすこと。すなわち上司の働きかけでチームメンバー全員が一丸となり連携し、メンバー個々の力だけでは成し得ない大きな成果を生み出すこと。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
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上司の仕事とは、いったい何でしょうか。
私は、企業の人材育成において、日々部下のマネジメントにあたる上司の役割が要だと考えています。
私が営むFeelWorksでは、創業から15年以上「上司力」にこだわり続けてきました。「上司力」をいかに現場で効果的に発揮し、磨いていくかを追究し、講演・研修やコンサルティングを通して、400社以上の上司の皆さんを支援してきました。その集大成が、拙著『部下全員が活躍する上司力5つのステップ 管理職から支援職に変われば、奇跡が起きる!』(FeelWorks、2023年3月発行)」で紹介する部下全員が活躍する支援型マネジメント「5つのステップ」です。
上司は、自分が動くことが仕事ではありません。人を動かし組織を動かすこと、すなわち上司の働きかけでチームメンバー全員が一丸となり連携し、メンバー個々の力だけでは成し得ない大きな成果を生み出すこと。これが上司の仕事の神髄です。
上司には、自分がマネジメントするチームの部下全員を育て活かす責任があるのです。
ただ組織で働く以上、現場の上司は自分の部下となるメンバーを自由に選べるわけではありません。私たちが開講する「上司力(R)研修」でも、「部下の行動や考えを理解できず、うまくコミュニケーションが取れない」「部下を信頼して任せきれない」、さらには「どうしても部下を好きになれず悩む」など、痛切な声を聞くことが少なくありません。
上司も一人の人間ですから、そうした感情にとらわれることも無理はないでしょう。しかし、上司という職責を担う限り、預かった部下に関わることから逃れることはできません。メンバー全員に関心を持ち、しっかりと向き合い、活かすための努力と工夫が不可欠だと心得ることが第一歩です。
では、部下全員を育て活かすとは、果たしてどのようなことでしょうか。
これまでの日本企業では、社員を大切にすることは雇用を守ることだと考えられてきました。しかし、これだけ変化が激しい現代において、それは本当に正しいのでしょうか。
子育てにおいては、「かわいい子には旅をさせよ」と言います。自分の子どもがかわいいからといって、家の中に囲い込み、世間のリスクに一切触れさせずに育てれば、どうなるでしょう。親は子どもより先に亡くなりますから、子どもはいずれ独り立ちしなければいけません。子どものためを考えれば、親の擁護がなくても社会で生きていけるように、一人前に育て上げることが大切です。
同様に、今や多くの企業にとって、社員全員を終身雇用で一生守り続けることは困難です。会社の方向性と個人のキャリア志向がずれてくることもあるでしょう。上司も、いつまでも今の部下の上司ではいられません。人生100年時代であり、かつVUCAといわれる時代。部下たちも社内での組織再編や他部署への異動や転勤を経験し、また雇用の流動化が進む中、転職の可能性もあるでしょう。
従って、部下を真に大切にするとは、現在の職場や上司の下に囲い込むことではありません。いつでもどこでも、社内外で活躍し続けられる自律したプロとして育て上げることなのです。たとえ数年間であっても、部下が「この上司の下で働いた経験は、自分のキャリア形成にとって貴重だった」「自律に向けて成長させてもらえた」と思えるように、支援することです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授