コロナ以降、「部下が何を考えているのか分かりにくくなった」という相談が増えてきた。部下が自立して、いきいきと働いてもらうために、上司として何ができるのか。
エグゼクティブの皆さんが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。
今回からは、マネジャーやリーダーが抱える悩みやプレイングマネジャーの仕事の任せ方などについて、ベストセラー『できるリーダーは、「これ」しかやらない!』の著者で、らしさラボ代表の伊庭正康さんと当連載筆者の経営者JP代表・井上との対談の内容からお届けします。(2022年9月9日(木)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:できるマネジャーは、「これ」しかやらない!」)
2021年のラーニングエージェンシー社調査によれば、管理職の悩み・第1位は「部下の育成」、第5位には「部下とのコミュニケーション」がランクインしています。
伊庭さんも話していましたし、私もクライアント企業から、また個々の管理職の皆さんからの相談内容が、コロナ以降、「部下が何を考えているのか分かりにくくなった」というものが非常に多くなりました。
多くの企業が悩んでいるのは「部下に対して指示・確認型のコミュニケーションが増えてしまう」ことだと伊庭さん。望んでいるわけではないのに、どうしても上からの一方通行のコミュニケーションになってしまうということですね。
部下のほうは仕事に対して「言われたからやります」という状態で、企業としてはそれではちょっと頼りないと感じています。
もっと仕事を楽しんでほしい。もっと自分から「こうしたい」と言ってほしい。でも、上司はその思いを引き出すことができていません。これがコロナ以降、多くのマネジャーの皆さん、企業の共通する悩みとなっています。
昭和や平成の「上位下達」のマネジメントでは、主体性を引き出すことはできません。
一方で今のマネジャーは、ほとんどの人がプレイングマネジャー化しています。マネジャーだけではありません、プレイング部長、プレイング役員にまでなっています。
もちろん、指示命令だけ出しているような管理職は不要な時代です。業務をハンズオンでやる大切さがありますから、今のマネジャーは自分の仕事も含めて非常に忙しくなっています。
その上にさらに、部下の育成やコミュニケーションが加わりますから、いくら時間があっても足らないよというのが概ねマネジメントの皆さんの実感でしょう。
もはやマネジャーが自分で全てのことに対応するのには限界があります。そこをどうしたらいいのでしょうか。
これに対する伊庭さんのメッセージは、「部下のみんなにちゃんと自立してもらって、その上でいきいきと働いてもらうために、上司として何ができるのかを考え、実行しましょう」、です。
具体的に、どのようにすれば良いのでしょうか?
1つ目は、「自分のプレイング業務で、引き継げるものがあれば引き継ぐ」。これをやらないと、やっぱり苦しいですよねと伊庭さん。
2つ目は、「本来課長がやる仕事を、次世代のリーダーの方に引き渡す」。つまり、リーダークラスの部下たちに職場の運営にも一部関わってもらうことによって、「育成」と「自分の時間がない」の両方を解消することができます
確かに私がいろいろな企業や組織、個人を見ていても、実際この2つを実行しているマネジャーやエグゼクティブがうまくいっていますね。
このスタイルを伊庭さんは、「方針はトップダウン、やり方はボトムアップ」と表現しています。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授