大和証券グループ本社・中田誠司社長「株価4万円でデフレ脱却象徴も」

日本は、特定指標の動きに連動した成果を目指すパッシブ運用が中心だった。これからは、運用の高度化と商品の多様化が必要になる。

» 2023年12月22日 09時37分 公開
[産経新聞]
産経新聞

――令和6年の株価見通しは

 「来年は4万円を目指せる水準にある。(バブル経済期の平成元年12月29日に付けた3万8915円の)最高値を超えることで、デフレ脱却の象徴になるのではないか」

インタビューに応じる大和証券グループ本社の中田誠司社長=15日、東京都千代田区(黄金崎元撮影)

――拡充される少額投資非課税制度の「新NISA」が令和6年から始まる

 「(岸田政権が掲げる、家計の金融資産を成長投資に充てる)資産運用立国の実現は一朝一夕でできるものではない。(資産形成などに関する知識を学ぶ)金融経済教育を含め、20〜30年の時間軸をかけて進めないといけない」

――資産運用を根付かせるには何が必要か

 「日本は、(日経平均株価などの)特定指標の動きに連動した成果を目指すパッシブ運用が中心だった。これからは、運用の高度化と商品の多様化が必要になる。利益を上げられる(市場平均以上を目指す)アクティブ運用や、株式や債券以外を投資対象とするオルタナティブ運用を増やさないといけない。資産運用会社が(鍛えられることで)精錬されて育てば、貯蓄から投資への好循環が生まれる」

――日本は新興の資産運用会社が少ない

 「例えば、公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の8割以上が委託手数料が少ないパッシブ運用のため、新規業者が参入しづらかった。政府が要請したGPIFの新興運用業者への委託を待っているだけではなく、われわれも何らかの形で支えたい。まずは数十億〜100億円規模のファンドを設立し、新興運用会社の発掘・育成を検討したい」

――賃上げは

 「(政府が税制優遇方針を示す)7%以上の賃上げを検討したい。新卒の初任給も現状の28万円から29万円に引き上げる方向で検討している」(黄金崎元)


なかた・せいじ 早大卒。昭和58年大和証券。平成19年大和証券グループ本社執行役、21年取締役、28年副社長。29年から現職。東京都出身。63歳。

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