リーダーが身に付けたい「耳の痛い話」を伝えるためのマインドセットとスキルセットビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

最近、部下に厳しい事を言えないリーダーが増えている。「ほめて伸ばす」ことも重要だが、成果や行動にギャップが生じている場合は、ギャップを埋めるための「ネガティブフィードバック」が必要な場面もある。

» 2024年03月07日 07時07分 公開
[難波猛ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


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「優しすぎるリーダー」が「ゆるい職場」を生む

『ネガティブフィードバック 「言いにくいこと」を相手にきちんと伝える技術』

 最近、部下に厳しい事を言えないリーダーが増えています。背景にはパワハラ防止・リモートワークの普及・若手の離職リスク・年上部下の増加などが複合的に絡み合っています。

 その結果、「この会社にいても成長が見込めない」と意識が高い若手が離職する、「何も言われないから、今のままで定年までやり過ごしたい」とベテラン社員がモチベーションを低下するなど「ゆるい職場」と言われる問題が生じています。

 「ほめて伸ばす」「相手に寄りそう」リーダーシップも当然重要ですが、成果や行動にギャップが生じている部下に対しては、ギャップを埋めるための「ネガティブフィードバック」が必要な場面もあります。

「ネガティブフィードバック」が必要な4つの理由

 相手に耳の痛い事を伝えるのが好きな人はいませんが、リーダーがギャップへのフィードバックを避けて通ると、4つの観点で問題が生じます。

・組織の観点

 会社や組織は、顧客や社会に期待される以上の価値を提供する事で存続と成長が可能になります。VUCAと呼ばれる複雑で不確実な変化の時代に、期待未満の成果が続く集団では、組織が存続できなくなります。

・本人の観点

 期待未満の状態が続く中、その事実に気付かず働き続けることは本人のキャリア形成上リスクになります。フィードバックは本人に「気付きの機会」「成長の機会」を与える貴重なギフトです。

・周囲の観点

 特にベテラン社員のギャップに対して上司が見て見ぬふりを続けると、若手社員や同僚は「やってもやらなくても同じ」と、真面目に努力することが馬鹿らしくなり、組織のモラルは低下していきます。優秀な社員ほど、そうした環境を嫌い転職や起業を選択する可能性が高くなります。

・リーダー自身の観点

 リーダーの役割は「部下に嫌われないこと」ではなく、「部下を成長させること」と「その結果、組織の成果を最大化すること」です。嫌われることを恐れて必要なコミュニケーションが取れないリーダーは、ある意味で役割を放棄していることになります。

「ネガティブフィードバック」を行うためのマインドセット

 とは言え、「嫌われたら困る」「どうせ言っても無駄だ」などの感情が湧くのは自然なことです。ネガティブフィードバックは、気持ちを整えて真摯に行う必要があります。そのためのマインドセットを紹介します。

・課題の分離

 これは「アドラー心理学」の考え方です。ギャップが生じている部下に対して、伝えるのか・伝えないのかはリーダー自身が選べる「自分の課題」です。一方、伝えられた部下が、どう受け止めるか・どう行動するかは部下が決める「部下の課題」です。

 「相手がどう思うか」というコントロールできない課題を気に病むより、必要な事を伝えるというリーダー自身の課題に向き合いましょう。

・期待するが期待しない

 これは「アンガーマネジメント」の考え方です。フィードバックは嫌がらせや憂さ晴らしで行う行為ではなく、相手の改善や気付きに期待する性善説でのコミュニケーションです。「この部下に成長してほしい」「彼(彼女)なら改善できるはず」という期待を持ちましょう。

 一方で、「自分の思い通りの行動」は期待しないようにしましょう。人間が怒りを感じるのは、「こうすべき」という自分の信念(コアビリーフ)が侵害された時です。リーダーの意見を一方的に押し付けると、その通り動かない部下にリーダーもイライラしますし、意見を押し付けられた部下もイライラします。改善に向けた行動は、リーダーではなく部下自身に計画させましょう。

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