「高収益化」と「高賃金化」は、本来相反するものだが、解決する方法はある。
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いきなりですが、なぜ日本では「高賃金化」が難しいのか? 難しいと考えられているのか? その核心をお伝えします。
リーダーの皆さまにとっては分かっていることかとは思いますが、同じ100億円の売上をあげている2つの会社を比較したものです。この比較を見たとき、あなたはどちらのほうが良い会社だと思いますか?
年商100億円 原価・販管費95億円 利益5億円
年商100億円 原価・販管費85億円 利益15億円
パッと見て、利益が15億円出ている後者のほうが良い会社のように見えるはずです。つまり一般的に、同じ売上に対して原価・販管費を抑えることができ、利益が多いほうが良い会社と見られるのです。では、「賃金」はどこに入るのでしょうか? そう、販管費に入ります。
多くの人は、「会社が高収益になって利益が出れば、給与も上がる」と思っています。しかし、実際には「高収益化」と「高賃金化」は、本来相反するものです。つまり、
利益を上げたければ、賃金は下げたほうがいい(そして株価が上がる)
賃金を上げると、利益は下がることになる(そして株価も下がる)
というのが経営における基本的な考えかたであり、この考えかたのもと(ほかにもさまざまな理由はあるにせよ)、日本では「賃金をめぐって、労使が対立する」という構造を生み出してきたのです。
私は、この対立構造に終止符を打つべく、次のような考えかたを提唱しています。それは、「1人1時間あたりの付加価値生産性を高め、高収益、高給与を同時に実現する」です。つまり、1人1時間あたりの付加価値生産性こそが、「高収益化」と「高賃金化」の双方を解決するベクトルなのです。
これは、現在私がコンサルタントとしてさまざまなクライアント企業に提供し、大きな成果を出している「付加価値」をテーマとしたマーケットイン2.0型経営とも呼ぶべき、「価値主義経営(R)」のコンセプトを凝縮した結論であり、合理的に高賃金化を実現するための、たった1つの方法(ベクトル)といっても過言ではありません。そして、そのコンセプトの多くは、私がかつて新卒で入社し、4年間在籍したキーエンスという会社で学び、培った考えかたや手法がベースとなっています。
この記事を読んでいる皆さまの多くは、すでに知っているかもしれませんが、キーエンスは、ファクトリー・オートメーション用センサーなど、さまざまな機器を開発・製造販売し、「従業員の平均年収2000万円超」「社員1人当たりの営業利益額1億円超」「時価総額17兆円」という理想的な会社として、近年大きな注目を集めています。
私は同社にコンサルティングエンジニア職として入社し、4年間在籍しました。そしてその間に「最小の資本と人で、最大の付加価値をあげる」という、高賃金化を目指すうえで基礎となるコンセプトと、そこを起点とするさまざまな仕組み、および仕組みの連鎖について学んだのです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授