富裕層外国人を海に誘致 豪華クルーザー「スーパーヨット」、西日本でマリーナ整備進む

海外の富裕層らが所有する豪華クルーザー「スーパーヨット」を誘致しようと、大阪をはじめ西日本各地の自治体がマリーナの整備に乗り出している。寄港地となれば船のメンテナンスや観光などで大きな経済的恩恵が見込まれる。

» 2026年01月13日 09時09分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 海外の富裕層らが所有する豪華クルーザー「スーパーヨット」を誘致しようと、大阪をはじめ西日本各地の自治体がマリーナの整備に乗り出している。寄港地となれば船のメンテナンスや観光などで大きな経済的恩恵が見込まれる。洋上が観光地になることから、インバウンド(訪日客)が殺到するオーバーツーリズム(観光公害)対策としての期待もある。

 スーパーヨットは個人所有の全長24メートル以上のクルーザーで、富裕層らが仲間や調理人らとともに乗り込んで各地を周遊。食事や観光、給油などで寄港地に経済波及効果があり、3日間の停泊で船内外で約1千万円の支出があるともいわれる。

 寄港地に選ばれるには、まず寄港地でスムーズな入出港手続きができることが重要で、誘致に前向きな自治体ではさまざまな取り組みが行われている。観光地や都市部に近い立地のほか、船の補修や補給ができる設備の充実も重要となる。

 停泊できるマリーナは、世界的観光地の地中海やカリブ海、中東で急速に整備が進む。日本は港湾を多数有しながら後れを取っているが、近年は各地で誘致に向けた取り組みが目立っている。

 関西の産学官で構成する一般社団法人「夢洲(ゆめしま)新産業・都市創造機構」は2025年9月、スーパーヨットで大阪港から瀬戸内海を巡る旅の実証実験を実施。富裕層に提案するためのルートをつくろうと、岡山や香川などに寄港し、美術館やしょうゆの醸造現場などを訪問した。

 同機構の井垣貴子代表理事は「大阪・関西万博開催によって、関西の観光需要は高まっている。万博のレガシー(遺産)を紡ぐためにも海のハブ(中継拠点)の形成を急ぎたい」と述べ、関西から九州までを結ぶルートの整備を視野に入れる。

 西日本では訪日客の呼び込みに向けて自治体や企業が連携し「西のゴールデンルート」を打ち出し、各地をつなぐ観光ルートを設定。周遊手段としてスーパーヨットの役割も期待される。

 大阪観光局によると、大阪港でマリーナの候補地として挙がっているのが、天保山(港区)と大阪南港(住之江区)だ。30年秋ごろにカジノを含む統合型リゾート施設(IR)が開業予定の夢洲(ゆめしま)(此花区)での整備も検討されている。

 大阪以外でも神戸港や横浜港、中四国でもマリーナの整備が進む。神戸市は神戸港の新港にスーパーヨットに特化した施設を新設。27年の開業を目指し、瀬戸内観光の玄関口として民間企業が整備・運営を行うという。

 一方、日本政府観光局によると、25年1〜11月の訪日客は計約3900万人で過去最多だった24年の年間数を超えた。観光地では、ごみや公共交通機関の混雑など観光公害が問題となっており、消費単価の減少傾向も指摘されている。

 スーパーヨットの誘致は、観光客の分散や消費額の多い訪日客に来てもらう「量より質」の転換に役立つとの見方がある。日本総合研究所調査部の石川智久部長は「日本が海に面しているという財産を活用すべきだ。訪日客を西日本全体に振り分けることができれば地域振興につながる」と指摘する。(石橋明日佳、入沢亮輔)

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