ビジネスアナリシスへの取り組み方:海外と日本との比較ビジネスとITを繋ぐビジネスアナリシスを知ろう!(1/2 ページ)

社会やビジネスを大きく変えない日本と、社会やビジネスを変え続けている海外とを比較すると、その差がどんどん広がっており、国際競争力の低下につながっているのではないだろうか。

» 2026年01月29日 07時01分 公開
[庄司敏浩ITmedia]

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 筆者は2001年に経済産業省がITコーディネータという資格制度を立ち上げたときに第一期として資格を取得してから現在まで、フリーランスのITコーディネータとして仕事をしている。ITコーディネータ資格制度立上げの理念は「経営とITの橋渡し」であった。高い金と多大な労力をかけて構築したITシステムが、ビジネスに貢献できていない事例が多く、その原因は両者が適切に整合していないことにあると分析されていた。

 そこで、経営とITの両方を理解した人材(ITコーディネータ)がそこを繋げる役割を果たすことを意図した。しかし、その試みは決して上手くいってはいないと感じていた頃、海外でビジネスアナリシスという職務があり、日本のITコーディネータと同じような役割をしている。

 その知識体系として『BABOK(R)ガイド』を作っているということを耳にした。海外で普及しているものを紹介した方が、日本人に関心を持ってもらいやすいのではと筆者は考え、2008年にIIBA日本支部の立上げに参画した。そしてビジネスアナリシスの普及に力を入れるようになった。

 本コラム第22回の記事で紹介したとおり、筆者はほぼ毎年、IIBAのグローバルカンファレンスであるBBCカンファレンスに参加している。初めて参加したときに、日本と海外では同様の課題があると感じた。海外ではビジネスサイドとITサイドと表現していたが、正にビジネスとITとが繋っておらず、その橋渡し役(リエゾン)をビジネスアナリストが担わなければならないと主張した。これは、正にITコーディネータの理念と同じなので、それ以来、海外で“What is IT Coordinator?”と聞かれたら、”Japanese-version Business Analyst”と答えている。

ビジネスとITの橋渡し役を担うビジネスアナリスト

 その後も、日本社会は大きく変わっていない。海外のカンファレンスに毎年参加していると経年変化がよく分かる。日本が課題を解決できていない間に、海外ではビジネスとITが融合したデジタルビジネスが当たり前になり、ビジネスとITは同時に考えるものとなった。そして、アジャイルをもっと普及させ、ビジネスの展開速度をあげるべきという論調が盛り上がり、米国ではアジャイルが主流になり、ビジネスアジリティという概念も普及した。

 昨今のAIブームについても、昨年は米国だけでなく欧州のカンファレンスにも参加したところ、AIの具体的なビジネスへの活用例が紹介されるようになってきた。何をするにしても、前に進むことが臆病な日本と比べると、米国や欧州は、実際にものごとを進めた上で、見えてきた課題に具体的に対応して、新しいビジネスを広げている姿が見える(しかも国家レベルで)。

 多少は進んでいるとはいえ、社会やビジネスを大きく変えない日本と、社会やビジネスを変え続けている海外とを比較すると、その差がどんどん広がっている。それが、国際競争力の低下につながっていると筆者は考えている。(私としては、下図のように米国、カナダといった北米が新しいコンセプトを作り、進展させ、欧州がそれに追随しながら、より社会に適応しやすいい現実的な解を見つけていく。それに大きく遅れて、日本がゆっくりと歩みを進めているという感覚をもっている)

北米が新しいコンセプトを作り、進展させ、欧州がそれに追随、それに大きく遅れて、日本がゆっくりと歩みを進めている

 海外では、チェンジマネジメントという考え方も広まっている。組織やビジネスの変革を主導する活動そのものだ。昨年(2025年)秋の欧州のカンファレンスでは、変革をマネジメントするチェンジマネジメントチームと、変革の内容を考えるビジネスアナリシスチームがどのように連携しているのかが関心事の一つになっていた。

 組織のトップが変革に責任を持ち、そこから権限を委譲されたチームが変革を進めるマネジメントを行い、望ましい変革の姿を描く実務をビジネスアナリシスチームが担うという連携である。そして、そのために必要なことを準備する活動をプロジェクトとして立上げ、実施していく。その後、プロジェクトで作成したものを使って、新しいビジネスを推進していく。

変革をマネジメントするチェンジマネジメントチームと、変革の内容を考えるビジネスアナリシスチームの連携。

 実際にやってみないと、新しい取り組みが成功するか否かは分からないので、これらの活動をスモールスタートで始め、フィードバックを得て、よりよい姿を見出しながら、発展させていく。そのスピードが速い方が有利になるので、ビジネスアジリティを組織的に高めて、これらの活動を迅速に行い、競争力の高いビジネスを進めることに力を入れている。

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