コーヒーを味わいながらアートが楽しめる小さなミュージアム「Museum of Imaginary Narrative Arts」が渋谷にオープンタイムアウト東京のオススメ

東京の街の“ローカルエキスパート”が、仕事の合間に一息つけるスポットやイベントを紹介します。

» 2026年03月31日 07時00分 公開
Photo: Kisa Toyoshima

 2026年4月1日、新しいスタイルの小さなミュージアム「Museum of Imaginary Narrative Arts」(MINA)が渋谷にオープン。「イマジナリーナラティブ=架空の物語」をコンセプトに掲げ、アート作品に囲まれながらカフェとして飲食も楽しめるミュージアムを舞台に、アートとともに暮らす豊かで新しい日常を提供します。

 季節ごとに展開される現代美術の展覧会を起点に、季刊誌の発行や体験型のラーニングプログラムなど、多彩に活動していきます。新しい体験や交流を通じて、街に新たなつながりとにぎわいを提供し、そして文化的価値を創造します。

文教地区に生まれたミュージアム構想

Photo: Kisa Toyoshima

 渋谷駅からほど近い立地ながら、周辺には「青山学院大学」や「金王八幡宮」といった教育・文化施設が点在するこのエリア。都市の喧騒(けんそう)と落ち着きが交差する場所に、同施設は誕生しました。

 かつては期間限定施設やキッチンカーの用地として使われていたこの土地に、渋谷の再開発を牽引(けんいん)してきた東急が常設のアート拠点を構想。「消費される場」から「蓄積される場」へと役割をシフトさせる試みともいえます。

 館内は、ひと目で見渡せるほどコンパクト。アート作品とテーブル、カフェカウンターが同居し、鑑賞と滞在の境界が曖昧に設計されています。コーヒーやフードを片手に作品と向き合う体験は、従来のミュージアムとは異なるリズムを生み出すでしょう。

Photo: Kisa Toyoshima

新たなミュージアム像を紡ぐ

Photo: Kisa Toyoshima

 同施設をディレクションするのは現代美術ユニット「L PACK.」。アート・デザイン・建築・民藝を横断しながら、最小限の道具と現地の素材を臨機応変に組み合わせた「コーヒーのある風景」をきっかけに、街の要素の一部となることを目指すユニットです。

 同施設では、ミュージアムという存在を一つの完成形としてではなく、要素ごとに分解し再構築していくアプローチを採用。展示・収蔵・教育・出版といった機能を個別に捉え、その積み重ねによって新たなミュージアム像を立ち上げていく。「その蓄積は既存のミュージアム像と異なるものになるでしょう」と中嶋さんは話します。

 アーティストと一緒に行うラーニングプログラムや作品収蔵も予定されており、時間とともに変化し続ける未完成のミュージアムとしての側面も興味深いです。

オープニング展は「広告と公共性」

Photo: Kisa Toyoshima

 こけら落としとなる展覧会は「PUBLICAD」。ミュージアムポスターという存在に着目し、広告と公共のあいだにある表現を問い直す試みです。

 参加アーティストは、公共空間を舞台に活動する菅原玄奨とBIEN。菅原は、どこか現実離れした滑らかなグレーの樹脂彫刻を発表します。現実と非現実の境界を曖昧にするその造形は、渋谷の喧騒からふっと意識を切り離すような違和感をもたらすでしょう。

 一方BIENは、ロンドンの街で出合った水たまりを起点に、大都市のゆがみや視覚のズレをすくい上げる作品を展示。写真、グラフィック、ドローイングを横断した作品は、見慣れた都市の風景を別のレイヤーで再認識させます。

Photo: Kisa Toyoshima

 渋谷の喧騒のすぐそばで、シームレスに物語に入り込むような時間が流れる。コーヒーを片手に作品と向き合い、誰かと語らい、新たな視点を持ち帰る。その小さな積み重ねが、街の風景や私たちの感性を静かに更新していくでしょう。そんな緩やかな改革が、この場所から始まろうとしています。

著者プロフィール:タイムアウト東京 編集部

タイムアウトは、1968年にロンドンで創刊され、現在は世界333都市59カ国、14言語で展開する国際的なシティガイドです。東京版「タイムアウト東京」は、日本のヒト・モノ・コトを独自の視点で取り上げ、日英バイリンガルで世界に魅力を発信。高いブランド力とグローバルネットワークを背景に、雑誌やウェブ、ガイドマップを展開。恵比寿には「タイムアウトカフェ&ダイナー」もオープンしています。


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