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» 2008年12月25日 08時15分 UPDATE

ITmediaエグゼクティブ セミナーレポート:数字と正直に向き合う姿勢が経営者には必要 (1/2)

企業経営において重要なのはカネの流れ、すなわちキャッシュフローであり、経営者には数字を直視する姿勢が求められるという。富士通の経理部門で30年のキャリアを積んだベテランはこう語る。

[岡田靖,ITmedia]

 11月28日、経営者向けのセミナー「第6回ITmedia エグゼクティブフォーラム」が開催された。富士通 経理財務本部の俵一雄テクニカルアドバイザは、「グループ経営基盤の実践事例」と題した特別講演の中で、富士通および同社の顧客企業がそれぞれの経営課題に対してどのようにグループ経営を実践してきたか、具体的な事例を踏まえて説明した。

新会計基準においては会計仕訳の概念を転換すべし

 俵氏は富士通の経理部門で30年のキャリアを積み、その実務経験を生かして会計ソリューション「GLOVIA」の顧客支援に携わっている。2010年から適用される新会計基準について、「財管一致が大前提であり、事実という数字に向き合う経営が求められる。グループ経営管理が変わる」と説明、予想以上にハードルの高い基準であるとした。

富士通 経理財務本部の俵一雄氏 富士通 経理財務本部の俵一雄氏

 「企業経営を考える上で重要なのは損益でなくキャッシュフロー。なぜなら現金は現実の問題であり、現金が回っている限り企業はつぶれない。経営管理の上では、将来のキャッシュフロー予測を正確に行えることが、今後より一層求められてくる。そのためには、正確なデータを、迅速に、分かりやすい形で得られるようにしておかねばならない。従来の会計仕訳の概念からの転換が必要だ」(俵氏)

 どのような転換か。俵氏は、これまでのように勘定科目で仕訳集約された情報ではなく、集約されないままの取引明細情報をデータベース化し、会計情報の質的向上を図ることを提案している。

 「従来の会計仕訳は勘定科目を集約してしまうため分析は困難。これまでの会計データベースは、非会計情報、属性情報といったものが取り込まれていなかった。だから伝票はできるだけまとめるのが鉄則だった。新会計基準のセグメント会計や、内部統制監査対応などの上では、取引明細での視点が求められるが、こうした集約された会計仕訳では元データに戻れず分析できる範囲が限られてしまう」(俵氏)

 会計データベースがこのような構造になったのは、かつてはコンピュータの能力に余裕がなく、容量を節約しなければならなかったからだ。近年では、システム性能が大きく向上し、実現可能になった。

 「いまや、取引明細のまま会計データベースに取り込むことができる。HDDもメモリも、10数年前に比べれば実に廉価。加えてネットワーク技術やソフトウェア技術が普及し、複数システムからの不ぞろいのデータも格納できるXMLデータベースが利用できるようになった」と俵氏は話す。

 例えば従来、集約仕訳データで月当たり1万件、1レコード当たりのデータ量が200バイトだったのを、明細データで500万件×2Kバイトと、桁違いの規模に拡大した上で、事業管理分析などの処理を分単位、秒単位で行えるという。

 「富士通には大容量データを迅速かつ柔軟に切り出せる技術がある。明細をそのまま蓄積しておき、あらゆる視点から、いかなる粒度でも会計情報を抽出・分析できる共有データベースができる。内部統制やリスクマネジメントなど、今までの会計システムが想定していなかったような切り口でも可能。例えば、過去の取引明細を蓄積して分析することで、今の異常値や不自然値が面白いように浮き出てくるし、意外な相関関係も分かる。これを利用して正常な数値の範囲を特定できるようになるなどの効果がある」(俵氏)

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