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» 2009年10月26日 07時43分 UPDATE

つい踏んでしまうプレゼン失敗の地雷:完璧な企画書に潜む落とし穴 (1/2)

「プレゼンテーションは企画が命だ!」という意見をよく耳にする。あながち間違いではないが、どんなに企画自体やプレゼン資料が優れたものであったとしても、プレゼンの方法を誤るとせっかくの企画も台無しになってしまうのだ。

[中村昭典,ITmedia]

 「うちのチームリーダーが書く企画書は、いつも完璧」。そんなプロがいるチームは、プレゼン場面で大活躍。彼が書く企画書は、理路整然と整理され、企画も斬新で裏付けもきっちり押さえられている。そうなると当然、プレゼンの勝率は高まります。

 しかし、そんな完璧な企画書にも、プレゼンのワナは潜んでいます。ともすると、企画書の完成度が高ければ高いほど、ハマってしまいやすい落とし穴。今回はそんなケースを紹介します。

居眠り続出の講演会

 最初に、わたしが参加したシンポジウムで起こった、小さな「事件」から紹介しましょう。

 午後一番のプログラムで、シンポジウムのメインともいえる講演が行われました。会場は満席。手元には、受付で配布された分厚い講演資料が広げられています。びっしりと書き込まれた資料には、テーマに沿った説明が詳細なデータとともに綴られています。これを見るだけでも、講演者の意気込みが伝わってきました。

 講演がはじまり、1時間くらい経過したころでしょうか。そろそろ佳境にさしかかろうかというタイミングで、その「事件」は起きました。突然、講演者が手に持っている資料の束で、演台をバシッとたたいたのです。一瞬、会場の空気が張りつめました。そう、多くの参加者がうとうとと居眠りをしていたのです。講演の内容は秀逸でした。でも、居眠り者が続出してしまった。講演者はきっと悔しかったのでしょう。

 「講演って、必ず眠くなるんだよね」「眠くなるのは、中身がないからじゃないか」「だいたいプレゼンと講演は違うでしょ」と思った方もいらっしゃるでしょう。でも、そう言い切れるでしょうか。

 春の木漏れ日が差し込む講演会場。午後一番。こうした条件がそろえば、ありがちなことなのかもしれません。しかしよく考えてみると、参加者に睡魔が襲ったのは、それだけの理由ではなかったのです。

 聞き手を眠りに誘い込んだ理由は、こんなふうに整理できます。

スライドと配付資料が同一

 最初のころは、参加者も手元の資料を話に合わせてめくりながらも、スクリーンを見つめて聞き入っていました。スクリーンに映し出されているのは、手元の資料とまったく同じ、Power Pointで作成されたスライドです。

話を聞かなくても、読めばわかる

 講演者の話は、基本的にスライド(=資料)に沿って進んでいました。つまり、話を聞かなくても、読めばわかってしまうのです。これ、ネタが公開された手品を見ているのと同じですね。そのうちに参加者は、勝手に資料を読み進めるようになってしまいました。

小さな文字がびっしり

 おまけに文字やグラフがびっしりと並び、ページによっては文字が小さくてスクリーンが読みにくい。こうなると、徐々に参加者の視線は、スクリーンから手元の資料へと移っていきます。

資料が分厚い

 資料が完璧で丁寧な分、話を聞く必要は薄れます。これだけで、受け手は聞いたつもり、分かったつもりになってしまうのです。

 いかがでしょうか。講演もプレゼンも、同じではないでしょうか。もっと言えば、営業プレゼンなら、受け手は警戒心半分で座っており、聞く気がない場合もあるくらいでしょう。そうなると、話に耳を傾けてもらうには、講演以上に工夫が必要になるのです。

 特に「プレゼンは中身。企画書勝負だよ」って思っている人は要注意。そんな方ほど、この落とし穴にはまってしまいがちです。もちろん中身のないプレゼンは受け入れられません。でも、いくら提案内容が優れていても、それが相手に伝わらなければ、プレゼンは成功しないのです。

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