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» 2011年01月24日 08時00分 公開

ベストチームとは何か:チーム名は“笑う正直者”――システム・コーチングの現場〜その3 (2/2)

[島村剛,森川有理(CRRジャパン),ITmedia]
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役割の再分担を決定

 コーチは、Dさんがいらだちの感情を持って当然なほど、大きな役割を担ってきたことを認知する。同時に内的な役割はあくまでもチーム内の機能にすぎず、Dさん一人に属するものではないこと、過剰な内的な役割が一人に集中していることに嫌悪感がある今、あらためて「チーム笑う正直者」は自分たちが望むように役割をデザインできると伝えた。そして、今このチームには何が必要なのかを問い掛けた。

 するとチームメンバーから「自分自身が変わる必要がある」「もっとチャレンジするタイミングだ」との声が上がる。全員の役割のリストをチームの前に出し、どのようにチームメンバーで分担できるか、ほかに必要な役割や、今十分に果たされていない役割はないか、について話し合いが行われた。

 その結果、チームは役割の再分担を決定した。

チームリーダーDさん

決断者、部長の相談相手、まとめ役、父親役

メンバーEさん

観察者、やさしい人、企画者、率先者、推進者、励ます人

メンバーFさん

多様な意見を出す人、厳しい人、企画者、率先者、叱咤激励する人、教育者

メンバーGさん

企画者、イベントの発起人、推進者

 Dさんに負担がかかっていた役割をほかの3人のメンバーが分担すると決めたことで、チームに新鮮な緊張感が生まれた。それは、各メンバーが自分自身へのチャレンジを決意する瞬間でもあった。

チームリーダーDさん

 「正直、この変化にびっくりしています。多くの役割から解放されて楽になった気もするし、本当にメンバーに任せられるのか? とまだ信頼しきれないところもあります。しばらくは辛抱かな」

メンバーEさん

 「これまでDさんに依存してきたことを実感しました。これからは自分も率先してチームを推進していくんだと思うと、身が引き締まる思いです」

メンバーFさん

 「今まではお気楽な反対者でいればよかったけど、これからはそうはいかない。特に教育者の役割はハードルが高いですが、自分の周りの若い人達に対してからまず初めてみたいと思います」

メンバーGさん

 「自分はチームのお荷物のような存在だと思ってきたけれど、まずできることからやってみようと思います。でも、やり方が分からないことも多いので、ほかのメンバーの力や知恵を借りながらチャレンジしてみます」

 コーチは、次回までの宿題として、チームメンバーそれぞれが、新しい役割について、具体的にどんなアクションを起こすのかを考えてくるよう要望した。それをオフサイトミーティングでチームに対して発表し、メンバーからフィードバックをもらうことになった。チームは新しい役割を忘れないよう、役割分担表を職場の壁に張り出すことを合意した。

 「チーム笑う正直者」に明らかな変化が起きている。次回は、チームコーチングも後半に突入、山場に入っていく。乞うご期待!

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著者プロフィール▼ 島村 剛(しまむら たけし)

島村 剛

筑波大学第一学群社会学類卒業。住友銀行より日本総合研究所に転じ、同社研究企画部長を経て2004年CTIジャパン代表に就任。その後2008年に(株)ウエイクアップ、2009年にCRRジャパンを設立。個人と組織の本領発揮を促し、「世のため人のために活躍する人材」の志と絆を育むべく活動中。共著書に「コーチングのプロが教えるリーダーの対話力 ベストアンサー」がある。CTI認定資格CPCC(Certified Professional Co-Active Coach)CRR認定資格ORSCC(Organization & Relationship Systems Certified Coach)


著者プロフィール▼ 森川 有理(もりかわ ゆり) 

森川 有理

国際基督教大学教養学部卒業後、カリフォルニア大学サンタバーバラ校にてアジア太平洋研究修士課程修了。三和総合研究所(現 東京三菱UFJリサーチ&コンサルティング)国際本部研究員、リクルート、HCソリューション部、シニアコンサルタントを経て独立。現在、グローバルセンセーション代表 組織におけるチームビルディングや風土改革、夫婦や家族の関係性の強化、また個人の夢の実現など、コーチングを通じて、社会の中における個人が互いに認め合い、成長し合う関係性を支援している。CTIジャパンのリーダーとして、コーアクティブ・コーチングを伝えるとともに、システム・コーチ養成機関であるCRRのグローバル・ファカルティでもある。「コーチング・バイブル」(東洋経済)共訳。


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