連載
» 2011年08月24日 07時00分 UPDATE

ビジネスイノベーターの群像:社会を見すえ、自分たちのミッションを考える――出版関連業界の再編を目指す 大日本印刷森野鉄治常務 (1/3)

市場規模の減少が進む出版業界にあって、印刷業界の雄、大日本印刷が業界全体のワークフローの革新に向けて走り出した。相次ぐM&A、電子書籍ビジネスへの果敢な挑戦。一連の取り組みはどのような青写真のもと、推進されているのか。戦略立案の中核にいる森野常務に話を聞いた。

[聞き手:浅井英二、文:蒲池明弘,ITmedia]

変革期ゆえにチャンスあり

morino0577.jpg 大日本印刷森野鉄治常務

 大日本印刷といえば、業界最大手であり、早くから液晶関連や電子デバイスなどエレクトロニクス部門にも力を入れその技術力にも定評のある印刷会社として知名度はあったものの、どちらかといえば縁の下の力持ちではないが、地味な存在の企業だった。そうした企業イメージを一変させたのは2008年以降、矢継ぎ早に展開されたM&Aや業務提携である。

 現在、大日本印刷の傘下には、老舗書店の丸善、大型書店チェーンのジュンク堂、文教堂、図書館向けに書籍販売や運営業務受託を行う図書館流通センター、出版社の主婦の友社などが名を連ねる。新聞や雑誌の紙面には、出版業界の覇権を目指す巨大グループの誕生かというセンセーショナルな報道が飛び交ったが、騒ぎが一段落したいま、森野氏は「デジタル化という避けられない潮流にどう対応すればいいのかという問題意識が、一連のM&Aの背景にあった」と振り返る。

 森野氏によれば、「出版業界はいま、変革期の真っただ中」にあるという。ひとつは業界構造の変革、もうひとつはデジタル化への変革という意味においてだ。もちろん、このふたつは連動しつつ、出版業界を揺り動かしている。

 1990年代後半以降、書籍、雑誌の市場規模が縮小し続けており、4割前後の返本率など構造的な問題を抱えている。小売りの書店も減り続け、雑誌の廃刊も相次」ぐ。出版社、印刷会社、流通を担う取次、小売り書店が、従来型ビジネスモデルのままでは立ち行かなくなっているというのが森野氏の現状認識だ。

 さらにインターネットによる書籍販売が拡大し、スマートフォンを含め電子書籍を読むのに適した端末が増え、本のコンテンツそのものをデジタル化して、流通させるという流れも加速している。

 「デジタル化によって、出版業界は印刷、製本、流通、販売など個々の業種の壁が低くなり、シームレスな構造へと移行しつつある。わたしたちに求められているのは、変化する環境の中で、ムダが少ない効率の良いものにビジネスモデルを変えていくこと」と森野氏。変革期のいま、そこには大きなチャンスがあると考えている。

dnpflow590.jpg
       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

「ITmedia エグゼクティブ」新規入会キャンペーン実施中!!

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

「ITmedia エグゼクティブ」は上場企業および上場相当企業の課長職以上の方が約5500人参加している無料の会員制サービスです。

会員の皆さまにご参加いただけるセミナーや勉強会などを通じた会員間の交流から「企業のあるべき姿」「企業の変革をつかさどるリーダーとしての役割」などを多角的に探っていきます。

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -
世界基準と日本品質を極める Clients First with Innovation & Japan Quality

アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆