連載
» 2012年07月09日 08時00分 UPDATE

マニュアルから企業理念が見える:グロ−バル化にマニュアルをどう生かすか (1/2)

複数の人種を風土文化の異なる地域で協働させるためには、業務処理の標準とそれの文書化が必須である。

[勝畑 良(ディー・オー・エム・フロンティア),ITmedia]

 企業をグロ−バル化するとはどういうことであろうか。社内のコミニュニケ−ションを国際語といわれる英語に切り替えるということだろうか。社内システムを全世界共通のものにするということであろうか。社員の国籍を一切問わず、登用制度を全世界に適用することをいうのか。どれをとっても簡単に実現するようなこと ではない。

 グロ−バル化はトップエリ−トだけがそうなればよいのではない。全組織、全社員が、日常的問題にグロ−バルな視点から対応しようとする企業風土を作り上げていかなければならない。

 米国にキャタピラ−社という巨大企業がある。建設機械分野でわが国のコマツ社と覇を世界で争っている。この会社の場合、社内公用語は原則として、英語である。そのため、この会社は、Caterpillar Englishとよばれる独特の英語教習法を持っている。当然、この会社は多数の100%出資子会社を海外に設立している。いわゆる多国籍企業である。日本にもキャタピラ−ジャパンがある。

 建設機械は、地球の大地と戦う。過酷な作業を連続して行う。従って、製品は堅牢でなければ話にならない。同時に1台が数万点の部品で組み立てられる。ロケット並みの極めて精密な機械でもある。しかもこの機械が仕事をする場所は都会の中心部から辺地に及ぶ。機械の優秀性と同時にメインテナンスの迅速性、完全性を顧客から要求される。

 顧客満足を満たして、市場を支配していくためには広範なサービス部門を持ったディラ−ネットを世界中に張り巡らさなければならない。このメインテナンスサ −ビスに従事する人々に、会社の企業目的やコンプライアンスを理解させ、この人たちが、日常的に顧客満足を与え続けることが必要となる。

 そのため、この会社は世界一と評価されるマニュアルをつくり、前述した英語で社員教育を行っている。グロ−バル企業は、世界のあらゆる地域のあらゆる人種に協働を求めなくてはならない。これには共通言語と共同体感覚に裏打ちされた研修技法がいる。それらを満足させる手段はマニュアルを通じて実行するのが有効である。

 グロ−バル企業とは、従業員にその企業に対する共同体感覚を持たせるこことが必要条件である。これなしに、従業員は世界標準を受け入れない。WTOが要求する各種の業務システムにISO標準を確立し、この標準を実行していかなくてはならない。これは最低条件である。この条件を現実のものにするためには、反復した教育がいる。標準は行動の反復なしに身に付かない。口だけで教えることは難しい。文書が必要である。グロ−バル企業になるためには、文書を用いて職場を動かすことに慣れなくてはならない。文書に慣れる根気は、共同体感覚のない組織では生まれてこない。

 グロ−バル企業は、表面だけ変えて作ることはできない。根幹を固めなくてはならない。雑多な人種を風土文化の異なる地域で協働させることが必要である。つまり、業務処理の標準とそれの文書化が必須である。そして、繰り返しになるが、それを可能にするために共同体感覚を企業内に根付かさなくてはならない。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

ピックアップコンテンツ

- PR -
市場も注目する「攻めのIT」、経営戦略にどんなインパクトをもたらすか?

アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆