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» 2014年03月06日 08時00分 UPDATE

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:優れたリーダーに必要な対話術 (1/2)

昔は上意下達式で部下に命令を下していたが、今は部下も決定を納得しなければ面従腹背になってしまう。部下のやる気を引き出して、組織を活性化するには対話力を身につけてほしい。

[小林正弥,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


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140306book.jpg 人生も仕事も変える「対話力」 日本人に闘うディベートはいらない

 優れたリーダーとなるためには、何が必要だろうか? 昔は、経営学では、組織は上から下へと上意下達式に命令を降ろすものというように考えられていた。このような考え方だと、組織のリーダーは、自分で一方的に決定して部下に命令を下すことになる。実際、今でもこのような経営者やリーダーは少なくない。このような人は、独断で決定して部下には服従を強い、従わなければ怒ったりしがちである。個人的に優れた能力を持っていると、自分の意思決定に自信を持っているから忙しさもあって、うっかりするとこのようになりがちである。あなたの周りでも、思い当たることはないだろうか?

 今の社会では、これではいつまでもうまくはいかない。情報量が多くなり技術や社会のテンポが早くなっているし、個人の能力には限界があるから、いかに優れた人でも独断では意思決定に失敗することが起こりうる。また仮に正しい意思決定でも、部下にその決定を納得させることができていなければ、面従腹背になってしまうことが起こりうる。さらに、部下がやる気を失ってしまうかもしれないし、みんなが形式的にだけ決定や命令を守っても実際には非効率な仕事になってしまう。そして、現場の人たちの気づいたことを意思決定に反映させることが難しくなってしまう。

リーダーに必要な対話力

 だから、これからの組織ではリーダーに対話力が必要だ。対話力のあるリーダーは、現場の人びとや部下と対話を行って、彼らの気付きや洞察を生かし、より優れた決定をすることができるし、部下の悩みや問題を聞いて指導することもできる。自分の決定の意味をみんなに理解してもらって、やる気を引き出すこともできる。リーダーが対話力を持てば、その組織は活性化するし、イノベーションを行っていくこともできる。このような組織こそがこれからの時代は成功していくだろう。管理職にとっては有意義な対話を部下とできるようになることが、最重要課題なのである。

対話の効果と白熱会議

 では、仕事では対話から何を得られるだろうか? 第1に、誠実に対話をすれば、相手から信頼される。第2に、対話力があれば出会いをその場限りにせずに生かして、その流れの中で絆やご縁が生まれるかもしれない。ここから、成功の可能性が生じてくる。第3に、自分も含め職場の人たちが人間関係に悩まず安心して仕事に打ち込めるようになる。さまざまな問題に直面しても、素直に対話できる状況になれば、問題解決が容易になるのである。

 そして、第4に、リーダーが対話力を持っていれば、会議も活性化できる。職場では時に会議が退屈になったり時間の無駄に感じられたりしている。これは、会議が形骸化しているからだ。リーダーが、形式的に会議を運営して、実際には参加者の意見をあまり本気で聴く気がなければ、こうなってしまうのは当然である。

 でも、議長が対話力を持っていて、会議で本当の対話を行おうとすれば、形だけの対話を実質的な会議の場に変えることができる。いわば「白熱教室」ならぬ「白熱会議」にすることができるのである。

 もちろん、ブレーンストーミングのように会議が白熱すれば、そこで素晴らしいアイデアが生まれるかもしれない。その会議の内容によって実質的な決定が影響を受けるのであれば、その会議の参加者はとても充実感を味わうだろう。また、自分の意見が影響を与えれば、その決定を心から支持し、成功につながるように全力を尽くす気になるだろう。

 また、仮にあらかじめ結論の方向が決まっていて議論によって結論が変わらなくても、真剣な対話をすることは有意義である。もし決定後に問題が生じれば、その決定を速やかに見直すことができるだろう。決定にはつながらなくとも、有意義な意見を出した人は注目され、能力が評価されて抜擢されるかもしれない。また、議論の過程を通じて、その決定の理由が明確になり、多くの人が納得するかもしれない。

ハーバード白熱教室、そしてオックスブリッジから学ぶ対話術

 このような対話力を身に付けてもらうために書いたのが、『人生も仕事も変える「対話力」――日本人に闘うディベートはいらない』(講談社+α新書)である。

 筆者は、ハーバード白熱教室がNHKで放送されて注目を集めてから、日本でも対話型講義を広げて教育を変革することに務めてきた。その過程で日本にはそもそも対話の場が欠如していることに気付き、対話の方法を知らない人、そのトレーニングの場も少ないことに気づいた。そこで、対話一般についてもその思想や技術(アート)を説明し、人びとが対話力を身に付けて幸福な人生を送り、仕事を発展させることができるようにしたいと思ったのである。

 サンデル教授は、オックスフォード大学で博士号を取得しているが、そこで伝統的なチュートリアルの方法による教育を受けた。筆者もケンブリッジ大学でこの教育方法を瞥見したが、これらの大学(オックスブリッジ)での個人的な対話的教育こそが伝統的な教養教育の核心である。そして、サンデル教授はハーバード大学で教鞭を取るに当たって、このような優れた教育を多人数講義で行う方法を開拓したのである。

 そこで、これらの世界の一流大学における教育方式から学んで、対話力をつけるためには、どうすればいいだろうか?

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