連載
» 2017年10月12日 07時12分 公開

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:「研修でイノベーション? あり得ない」「社長、それができるんです!」 (1/2)

経営者にも刺さる、真に実効性のある研修とはいったいどのようなものなのか。

[井上功,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


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研修で行われる構造改革提案の多くは、経営者に刺さらない。

『リクルート流イノベーション研修全技法』

 昨今、次代経営者の育成を目的とする「次世代リーダー開発」が、多くの企業で導入されています。次世代リーダー開発の手法として現在脚光を浴びているのが「アクションラーニング」です。アクションラーニングとは、断続的に行われる研修とその間に実施するフィールドワークで構成される一連の問題解決のプロセスを意味します。実際、企業の課題を受講生自らが提起し、施策を考え、実行し検証することで、企業の課題解決を促し、個人や組織が学習をしていく、というものが代表的です。

 私は、リクルート時代やリクルートマネジメントソリューションズで、顧客のアクションラーニングの企画、開発、運用を数多く手掛けてきました。しかし、そのプログラムのなかで提案された自社の構造改革案や事業成長プランが経営者の共感や感動を呼び、「なるほど、このプランは面白い。お前らよく頑張って考えたな。次期中期経営計画に入れて推進しよう」と経営者が手離しでほめる場面に出会ったことがほとんどありません。

 そうなのです。なぜか、アクションラーニングは経営者に刺さらないのです。さまざまな原因が考えられます。分析不足、リアリティが足りない、本気が伝わってこない、結局は受講生が研修と思っている……。経営者がこのようなフィードバックをする場面を、構造改革型のアクションラーニングで数多く見てきました。

 なぜ、このような現象が起きるのでしょうか? その理由は比較的明白です。それは、自社の事業や組織のことは、提案を受ける経営者が誰よりも深く知っているからです。そのため、アクションラーニングの受講生が構造改革案を考えたとしても、その必要性や真実味、危機感などが経営者にとっては不十分なものとして映ります。結果、多くの構造改革案や事業成長プランがあえなく玉砕するのです。

 最終日の経営者への提案のあとで、懇親会が開催されることがままあります。始めに経営者から「まあ、頑張ったな。お疲れさま」という半ば労ねぎらい半ば諦めともとれるあいさつのあと、ビールで乾杯し、刺さり切らなかった提案が何事もなかったかのように水に流されていきます。これでは、アクションラーニングの真の狙いとは程遠く、「通過儀礼」と化してしまっているのです。

イノベーションの提案は、経営者に刺さる

 では、経営者にも刺さる、真に実効性のある研修とはいったいどのようなものなのでしょうか。自社の事業を知り尽くした経営者でさえうならせることができるような提案を生み出す研修のプログラムは、いかにして実現可能なのでしょうか。

 経営者をうならせるには、経営者が求めているものを考えればよく、そしてそれこそが、「イノベーション」なのです。

 イノベーション生成のプロセスは、アクションラーニングのプログラムと非常に似ています。双方とも、議論を繰り返し、フィールドワーク(インタビューや調査、問題提起や課題の構造化、提案内容の精査など)を行い、状況に応じてチームを編成し、経営者に提言して承認を得ることは共通しています。

 アクションラーニング型のイノベーション研修は成立するのです。個人の問題意識を起点として社会課題を探索し、アイデアを獲得し、安全で安心な場で議論を繰り返してアイデアを磨き、顧客や市場との対話を繰り返して事業案にまとめあげ、決められたスケジュールにのっとって最終的に経営者に提案し、承認を得るというプログラムを、アクションラーニングとして実施するのです。

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