景気はもたつき局面を緩やかな拡大を続けている。景気拡張期間は67カ月となり、日清戦争好況の64カ月の最長記録を抜いて新記録を更新している。
8月分景気動向指数・速報値の一致DIは83.3%と5カ月連続して景気分岐点である50%超になり、足元、景気拡張が継続していることを裏付けた。
景気の量的な動きを示す一致CIの8月分は114.6となった。現行統計がある1980年以降のこれまでの最高水準であった06年8月分、同11月分、同12月分、07年6月分の113.7を大きく抜き、史上最高水準を更新した。足元の景気の堅調さを示したかたちだ。
8月分の一致DIの強さの主因は鉱工業生産指数だ。構成系列の約半分を占める生産関連指標が強かった。8月分の鉱工業生産指数・速報値は前月比3.4%増と大きく増加した。7月16日に発生した新潟県中越沖地震による自動車生産休止の影響などの反動もありしっかりした前月比になった。
生産は1〜3月期にITの在庫調整や米国向け生産分の調整などで6四半期振りに減少した。4〜6月期も前期比0.2%増と小幅な伸びにとどまったが、8月分以降はもたつき局面を抜け、明るい動きが期待される。
一致DIの先行きに関しては、おおむね50%超が続きそうだ。9月分の鉱工業生産指数・速報値は8月分の改定がないとし予測指数(前月比0.8%減)で延長すると水準は110.9になるので、比較対象の6月分の108.5を2.4ポイント上回りプラス符号になる。多少の下振れを考慮しても、9月分の生産はプラス符号になることを示唆する数字だろう。
10月分も予測指数(前月比4.1%増)で延長すると水準は115.4になり、比較対象の7月分の108.1を7.3ポイント上回りプラス符号になる。多少の下振れを考慮しても、10月分の生産もプラス符号になる可能性が高いだろう。
今年8月で02年1月を谷とする今回の景気拡張期間は67カ月となり、日清戦争好況の64カ月(非公式記録)というこれまでの最長記録を抜いて新記録を更新している。
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明治学院大学 経済学部准教授