BSA(ビジネス ソフトウェア アライアンス)日本担当コンサルタントの水越尚子弁護士は、英エコノミスト誌の調査部門に委託して調査した、IT産業の国際競争力の評価結果を披露した。
64カ国を対象にIT産業の国際競争力を評価したもの。それによると、日本は米国に次いで総合評価で2位に着けているという。
「その評価の高いことに驚いた、という声が多い」と言うが、日本が2位になったのは、特許件数をもとにしたR&D環境に対する指標が全体25%と高いウェイトを占めていたからだという。
「人的資本、大学のサイエンス部門の入学者数、文化の受容性など、経営環境などの指標は、日本はかなり低いところにある。今後は、日本のIT競争力について黄信号が点灯する可能性もある」と、水越氏は警鐘を鳴らす。
経済産業省大臣官房審議官(IT戦略担当)の吉崎正弘氏も、この評価に「ピンと来ない」という1人だ。同氏は、中小企業と大企業のIT投資が二極化している状況や、IT投資効率が良くない点を問題視している。
「全般的に言えば、ITに対する資本のウェイトは米国よりも遅れている。製造業などでは、ITの質の低さも報告されている。IT利活用の幅が部門の壁を越えられず、部分最適に留まっているせいだ」
ITに対する問題意識を持った経営者は決して多くなく、IT投資に対する評価をほとんど行っていないというのが現状だ。
企業だけでなく「官」の世界も同様の課題を抱えている。競争がある「民」の世界と異なり、評価される機会が少ない行政は、どうしてもITを使いこなしの点で遅れを取ってしまう。
吉崎氏は「電子政府など、はっきり言って出来が悪いとしか言えない。今までの仕事のやり方をそのまま電子化した結果、非常に効率が悪く、税金を無駄にしている」と切り捨てる。
「ITとBPRがつながっていないのだ。このあたりは民間よりさらに弱い。アウトカム(成果)の評価をきっちりやって、個人の評価にも紐付けするくらいにしなければ」
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明治学院大学 経済学部准教授