変わっていく業務の現場、システムに対するニーズ。変わっていけないIT部門。どこを目指して走っていけばいいのか。システムと人のバランスをとりながらサービスを提供できる組織を考える時がきた。
今の企業で必要とされるシステム要員とはどのような人たちなのだろう。
昔のシステム部門の中の役割分担は非常にシンプルだった。大きく分けると「開発部隊」と「運用部隊」で構成されていた。開発部隊は「生産管理(購買、BOM管理、工程管理、品質管理)」「国内営業」「貿易」「物流」「人事」「経理」など業務別の縦割りで、共通システムというマスター管理、データ交換(EDI)などがあった。
運用部隊は、入力データを取りまとめたり、磁気テープの入出庫、バッチ処理実行のスケジューリング、帳票の振り分け配送、ホストコンピュータのオペレーション、トラブル対策――と、ほとんどが人海戦術の肉体労働が中心だ。
開発部隊には、現場よりも業務に詳しいぐらいの業務知識があり、現場が要望する帳票を合理的に短時間で作成するための設計ができる。そして条件どおりにプログラミングするプログラマーがいた。これを知的単純労働と呼んでいた。運用部隊はというと、毎日の決められたルーチンワークを間違いなく時間内に完了する体力と真面目さがあればよかった。
しかし、今は違う。昔のように時代の変化を気にせず、バッチ処理を基本とした帳票作成のシステムづくりはほとんど役に立たない。業務は変化し、システムに対するニーズも変化してきた。
現場の環境変化、現場ニーズの本質、頼りにならないシステム部門を当てにせず現場の人たちはPCでどう対処しているのか。そして、そのPCをもっとも効率的に活用してもらうにはどうすればいいのか。大量の個別最適システムをどのように維持メンテナンスしていけばいいのか。国内だけではなく、海外拠点も含め全体最適をどのように実現すればいいのか。ホストに残った古い大量のプログラムをどのように最適なプラットフォームに移管していくか――まったく違った視点での構想し実行に移す力が必要である。
しかし、長い間偉そうに現場に威張ってきたシステム部門のベテランたちはやっぱり大きくは変われない。変われと言っても私は無理だと思う。出来るだけ早くIT部門のあり方や必要なスキルを改めて定義し、人材育成からやり直さなければならない。5年から10年かけてIT部門の再生を図らなければならないのだろう。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授