瞬く間にIT業界でブームを起こした「仮想化」。ただし、「リソースの有効活用」などのうたい文句に踊らされて至上主義に走ってしまうと思わぬ落とし穴が待っている。
「仮想化」という言葉がいまITシステムを有効活用する方法として脚光を浴びている。もともと大型汎用コンピュータで数十年前から適用されてきた技術だが、ここにきてPCサーバをはじめ幅広い領域で採用される動きが出てきたからだ。それに伴い、ベンダーの勢力争いも加熱しつつある。はたしてこの技術、どこにそんな魅力があるのか。落とし穴はないのか。経営者が知っておくべき仮想化技術の勘所を踏まえながら、解説してみたい。
「このところサーバの仮想化が注目されているが、実際に仮想化されているサーバは、まだ市場全体の1割未満。デスクトップPCの仮想化に至っては1%に満たないのが実情だ。ただ、現在稼働しているサーバの7割が、その性能の2割程度しか使用されておらず、より効率的な利用に向けて仮想化が浸透するポテンシャルは非常に大きい」
マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部Windows Server製品部マネージャの藤本浩司氏は、1月25日に同社が開いたプレス説明会でこう語った。同説明会は、米マイクロソフトが同月22日に行った新たな仮想化戦略の発表を受けたもので、「マイクロソフトはこれから仮想化の普及に向けて本格的に動く」(藤本氏)ことを宣言した格好だ。
マイクロソフトも本腰を入れ始めた仮想化とは、コンピュータを構成する複数のハードウェア資源(プロセッサ、メモリ、ディスク、通信回線など)を1つに見せる、または1つのハードウェア資源を複数に見せる技術のことだ。主に1台のサーバを複数に見せかけるように分割する「サーバ仮想化」や、複数のディスクを1つにする「ストレージ仮想化」などの技術がある。
仮想化の本質的なポイントは、リソースを再配分する管理機能にある。特にサーバやストレージは複数台を統合していく傾向が高まる中で、仮想化が欠かせなくなってきている。その意味では、統合化と仮想化はまさしく表裏一体の関係にあるといえる。
さてそのメリットはというと、サーバ仮想化では、異なるOSやアプリケーションを動作させることができ、複数台のサーバを管理するよりもコストや手間を軽減できる点があげられる。
またストレージ仮想化では、個々のディスク容量に関わらず大容量のデータを格納でき、システム構成が単純化されるため、運用・管理が容易になる。
こうした経済性や管理性に加え、消費電力の削減にもつながることから環境対策にも効果的とあって、仮想化はいま最も注目される技術の1つとなっている。
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明治学院大学 経済学部准教授