ところで、この「ビジネスプロセスの改善」というのは、なぜ4年も連続してトッププライオリティに挙がっているのでしょうか?
これは、企業である限り永遠のテーマだからなのです。ビジネスプロセスの改善の目的は少しずつ変化しており、それも永遠の課題といわれる理由となっています。
ガートナー EXP CIO サーベイ 2005(調査期間は2004年10月〜11月ごろ)に初めて「ビジネスプロセスの改善」がグローバルでは1位に輝いたわけですが、2002〜2004年にかけては全世界的に景気が低迷しており、情報システム部門に課された課題は「コスト削減」でした。CIOやIT部門が、コスト削減に走り回っていた時代に、こんな会話が某企業で交わされていました。
専務取締役CIO 「なんでウチの情報システムはこんなに複雑になっているのかな?複雑性に起因してコストも高くなっているとのことだが」
システム企画部長 「はい、システムの複雑性が高くなれば、維持コストは上がります。シンプルになれば、コストは下がります。当社のシステムが複雑なのは、業務が複雑になっているからです。システムは、業務状況を映し出す鏡のようなものとお考えください」
専務取締役CIO 「なるほど業務が複雑すぎるのか! わたしがCIOとしてやる仕事が理解できたよ」
会話は、日本の某企業のIT以外の部署からCIOを務めることになった専務取締役と、部下の執行役員システム企画部長(入社以来ほぼシステムだけを担当)のものです。
このCIOさんは、部門の処理機能を提供していた情報システムの考え方から、企業があるべき姿を映し出すプロセスベースの考え方でシステムを設計するように命じ、業務コストもシステムコストも大幅に削減するように大きく舵をとりました。これをガートナーが表現すると「機能・サービスベースのITからプロセス・イノベーションベースのITへの変革」ということになります。
部門の業務処理機能を提供するだけのIT部門のままでは、企業全体から見ると「個別最適」を促進し、複雑性を助長させる存在として映るでしょう。しかし、プロセスベースで全社横断型の仕事を遂行すれば、業務はエンドツーエンドで最適化されたものに生まれ変わります。専務取締役CIOはそれを一瞬で見抜いたのです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授