スパムの習性を逆手に取り検知率99%を実現した方法とは学会のスパム対策(2/2 ページ)

» 2008年07月18日 12時54分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]
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MailHurdleとRAPID Anti-Spamの段階的併用の効果

 RG100にそれらオプションを併用することで期待以上の効果が確認できた。情報処理学会が2008年4月14日〜 18日まで収集したデータを元に、同学会宛に届くメール総数の1日の平均値からスパム検知率を割り出したところ、前段のMailHurdle が全体の約半数を脅威あるメールと判断した後、5125 通が後段のRAPID Anti-Spam に受け渡され、その中でスパムと判定したメールは4290 通となった。

 その通過した835通から、エンドユーザー自身がスパムと判断した64通を除いた正常なメールは771通。よって、最終的なスパム検知率は99%に及び、心配された誤検知率はゼロと確認された。

 前段のフィルターで誤検知や未着防止を優先しながら全メールの約半分にあたるスパムを除去し、さらに後段の判定機が高精度なスパム検知を行うといった運用が効率的なスパム除去を可能にした形だ。

 湖東氏は、「スパム対策で最も問題となるのがメールの誤検知です。RG100は、高いスパム検知率を維持しながら誤検知率は0%で大変満足できる結果となりました。今は非常に快適になったと感じています」と述べ、理想的なスパム対策の実現に高い評価をつける。

情報処理学会における1 日平均のスパム数とRG100 による対策の実例(出典:社団法人 情報処理学会)

導入効果を聞く スパム対策はウイルス対策にも効果あり

ITmedia 今回のスパム対策の最大の効果とは?

湖東 導入前などは、週明けの月曜日など1人あたり数百通ものスパムがメーラーを占領し、学会の職員は午前中の貴重な時間をその処理に充てざるを得ませんでしたが、対策直後からスパムが激減したことで無駄な作業から解放されたことが大きいですね。

また、当学会ではメールサーバ側とクライアント側で他社製のウイルス対策ソフトを利用していますが、最近のウイルスはスパムにアタッチされて送られるケースが多く安心できませんでした。今後はスパムのほとんどをRG100が排除してくれることで、サーバ内にウイルスが入り込む危険性が極めて少なくなったことも嬉しい誤算です。

ITmedia 今後、日本におけるスパム対策は進むでしょうか?

湖東 最先端の技術を取り入れる産業界に比べ、教育関係では現在もまだスパム対策が十分に進んでいるとはいえません。その温度差の原因は、危機感もさることながらシステム導入に対する予算確保の問題が大きい。そのため、技術力のある製品を多くの大学が導入しやすいよう、ベンダー各社には価格面などで協力をしてもらえればスパム対策が進展し被害も減少していくと考えます。今後ミラポイントのような優れた技術が広まれば、世の中のスパム対策は大きく前進することでしょう。

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