情報は社内に多数存在するものの、アクセス権限やその量の多さといった問題から、それらの活用を進めることは多くの企業にとって非常に困難だ。BIツールの導入を通じ、これらの課題解決に4年前から取り組んできたのがNTTソフトウェアである。同社によると、BIツールの導入にあたっては3つのポイントを押さえておく必要があるという。
企業規模の肥大化に伴い組織系統が複雑化したり、社内に蓄積される情報が増加したりすることで、多くの大企業では情報を適切に管理することが困難な事態に直面している。NTTソフトウェアも同様の課題を抱えていた企業の1つだ。
同社では従来、Excelで基幹システムから抽出した情報を基に経営幹部が経営状況を把握していた。だが、それらを会議に用いるにあたっては、(1)複数の関係者による多段階のチェックが必要なためにリアルタイムなデータの入力が難しく、1カ月前の情報を報告せざるを得ない、(2)部署ごとにデータの集計目的や、データそのものの定義が異なるために集計値に微妙な誤差が発生する、という2つの大きな問題が発生した。その結果、経営判断の精度向上が困難かつ、情報の再集計作業も発生していたために業務効率の低下は避けられなかった。
そんな同社が状況を抜本的に改善させ、情報活用を推進するために白羽の矢を立てたのがBI(Business Intelligence)だ。NTTソフトウェアで営業推進本部第二営業部ソリューション営業部門長を務める小牧徳夫氏は、アイティメディアが開催した経営層に向けたセミナー「第6回 ITmediaエグゼクティブセミナー」で、同社のBIツール「InfoCabina」の活用に向けた取り組みについて解説した。小牧氏によると、BIは使い方次第で経営層の意思決定の迅速化のみならず、現場業務の支援まで実現する極めて有効なツールといえそうだ。
NTTソフトウェアがBIの利用環境の整備に着手したのは4年前。その手始めに経営層や業務の現場、情報システム部門に対してそれぞれヒアリング調査を実施したところ、社員の立場の違いにより、社内情報についてそれぞれ異なる点が課題として挙げられたという。具体的には、経営層では本当に欲しい情報が入手できないことが、現場では手作業での集計作業の手間が、情報システム部門では情報の指標を容易には変更できない点がそれぞれ問題だととらえられていたのである。
「要件定義にあたっては、全社的な情報活用を進める上でもこれらの異なる声のすべてに対応することが不可欠だった。BIの導入を成功させられるか否かは、この段階でどれだけ試行錯誤を重ねられるかが鍵を握っている」(小牧氏)
そこで、小牧氏がBIツールの導入を進める上で取り組んだのが次の3点だ。1つ目は、社内のあらゆる部署や部門、立場の社員でも容易に活用できる情報を提供できることである。
情報の「見える化」の必要性は従来から強く叫ばれていているものの、実はそれだけでは情報活用を実現させることは難しいのが実情だ。社員にとって業務に直接役立つ情報は社内情報の一部でしかなく、それ以外の膨大なデータが一方的に配信された場合には、逆にその確認のために業務効率の低下をも招きかねない。
このことを踏まえ、同社では情報と経営目標とリンクさせるとともに、バランススコアカードの観点から情報の取捨選択を実施した。
「顧客、財務、業務プロセス、学習と成長という4つの切り口から、例えば経費を削減するのであれば、材料費や人件費など鍵となる指標を個々に導き社員に提供することで、具体的なアクションを起せるよう考慮した」(小牧氏)
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授