中国、韓国が900億円を投じ、アニメおよび漫画産業の発展に向けた国家プロジェクトが動き出した。目指すは「アジアのハリウッド」という。
温家宝総理は11月10日、世界的な金融危機に対応するため、党中央と国務院(中国政府)は積極財政と適度に緩和された通貨政策の実施を決定し、経済発展をより力強く促進すると発表した。
温総理は、中央の政策を実行するための7つの取り組みを挙げた。
1. 投資を強化し、投資構造を改善する
2. 住民消費需要を中心に消費需要の拡大に努める
3. 不動産市場の穏やかで健全な発展を促進する
4. 輸出の安定成長の維持に努める
5. 企業の資質と市場競争力の向上に尽力する
6. 金融財政の取り組みを真剣に成し遂げる。金融調整を改善し、さまざまな政策ツールを総合的に運用し、融資の合理的な成長を維持する
7. 重要段階と重点分野の改革を積極的に推し進める
これに先立ち、中国政府は11月9日、総投資額4兆元(1元は約15円)の景気刺激策を発表している。
中国政府の景気刺激策
中国政府は11月9日夜、国営の新華社を通じて2010年末までの総投資額が4兆元に上る大規模な景気刺激策を発表した。年内にまず1000億元を投資するという。金融危機に端を発した世界経済の低迷で、高成長を続けていた中国経済も減速感が強まっているため、巨額の公共投資で内需を拡大し、比較的高い経済成長の維持を目指すとしたもの。
中国政府が発表した総投資額4兆元の景気刺激策は、市場の予想を大幅に上回る大規模なものとなっている。政府は8月の北京五輪期間中から内容の検討を重ねてきたが、その後に米国発の金融危機が深刻化。中国経済の一段の減速も鮮明になり、投資額を大幅に積み増した。
10月19日、河北省保定市で国家アニメ漫画産業発展(保定)基地の起工式が行われた。今後、関連産業を集約し「アジアのハリウッド」を目指すという。
国家アニメ漫画産業発展(保定)基地は中国、韓国から60億元(約900億円)が投資される大型プロジェクト。保定市には漫画、雑誌、書籍、アニメ、ネットゲーム、携帯ゲーム、キャラクターグッズなどの関連企業が100社を超えるが、国家新聞出版総署認可の産業発展基地建設が新たな飛躍のチャンスになると期待されている。
関係者によると、省政府および市政府の支持の下、すでに中国、韓国、日本、米国、スイスなどの企業が同プロジェクトに参加しており、今後企業の参加増が見込まれる。娯楽産業の中心地として発展するだけではなく、観光客を集めて年中盛大なイベントを行うアジアのハリウッドとして発展することが期待される。
中国税関総署が11月11日に発表した2008年10月の貿易黒字は、前年同月比30.3%増の352億4000万ドルとなり、3カ月連続で単月の過去最大を更新した。輸入の伸びが輸出を上回る勢いで急速に鈍化したのが主因。
金融危機による世界経済の低迷で、輸出品を生産するための原材料や部品の輸入が著しく減っており、輸出のさらなる減速を懸念する声が広がっている。
10月の輸入は15.6%増の930億9000万ドルだった。増加率は9月より5.7ポイント低下し、2007年9月以来、1年1カ月ぶりに10%台に落ち込んだ。一方、輸出は19.2%増の1283億3000万ドル。輸出の伸びが輸入を上回ったため貿易黒字は大幅に拡大し、単月として初めて300億ドル台に乗せた。
※この記事は内田総研グループ発行のメールマガジン『士業・net』の一部を加筆・修正し、許可を得て転載しています。
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