中国では外資系企業の夜逃げ同然の撤退が頻発している。政府は当該企業の責任を国境を越えて追及、訴訟する方針を打ち出した。
中国財政部は現在、企業の内部統制に関する19の指導項目の制定準備を急ピッチで進めている。春節(旧正月、2009年は1月26日)明けにも発表する予定で、発表後には全国で大規模な研修活動を行うことを予定しているほか、銀行、証券、保険の各業界に対して具体的な内部統制の指導項目を制定する見込みだ。
財政部の関係者がこのほど開催された内部統制に関するシンポジウムで述べたところによると、19項目には、組織の構造、企業の発展戦略、人材資源、企業風土、社会的責任、資金、研究開発、プロジェクト、調達、販売、資産などに関する内容が含まれている。
銀行業、保険業、証券業といった特殊な業界には具体的な指導項目が打ち出され、19項目を実施するための指導内容も提起された。
中国商務部、外交部、公安部、司法部は2008年12月20日、共同で「外資の不正常な撤退をめぐる中国利益関係者の越境追及と訴訟に関する指針」を発表した。上記4部門は外資系企業の夜逃げに対して、協力して当該企業の責任を、国境を越えて追及、訴訟し、当事者の経済的な損失を最大限取り戻すという。
中国の一部の地域ではこのところ、外国投資企業が夜逃げのように相次いで撤退しており、中国側の利益関係者に深刻な経済的損失や、二国間の経済や貿易往来、地方社会の安定に影響を及ぼしている。
指針では、正規の清算手続きを経ず、債権者に損失をもたらした場合、株主や取締役、会社経営者としての外国企業または個人は、引き続き相応の民事責任や会社の債務について、連帯弁済責任を負わなければならないと指摘している。
一部の悪質な脱税や巨額の脱税、犯罪の疑いのあるものに対して指針は、政府関係主管部門が立件後、具体的な内容を踏まえて条約で規定された中央機関あるいは外交ルートを通じ、犯罪容疑者の撤退国に容疑者の引き渡しを求め、法律による追及を受けることを確実に保障するとしている。
日本の大手小売業やメーカー約100社が2009年1月から、中国で日本製品などのインターネット販売を開始する。中国の決済ネットワーク「銀聯」のシステムを活用し、ネット上に仮想商店街を立ち上げて家電製品や化粧品、衣料品など約2万品目を販売するという。国内消費の低迷に直面する日本企業にとって、中国の消費者に商品を直接販売する機会が開ける。
仮想商店街「バイジェイドットコム」は中国の決済ネットワーク運営会社の中国銀聯と、三井住友カードなどが共同で設立し、ヨドバシカメラやマツモトキヨシ、セシール、ナルミヤなど数十社が出店を検討中で、最終的な参加企業は100社程度になる見込みで、初年度で40億円の売り上げを目指している。
インターネット通販で銀聯カード決済を取り扱うのは、日本初、世界でも中国および香港を除けば初めての取り組みとなる。
北京で最近開催した全国工商行政管理業務会議によると、中国で事業展開する外資系企業の規模は2008年度も引き続き拡大したという。2008年11月末時点、中国の外資系企業の実数は43万4600社(前年末比2万8200社増、同7%増)で、登録資本金は2兆1000億ドル(同9400億ドル増、同81%増)に達した。
工商行政管理総局の周伯華局長によると、2007年後半以降は世界的な金融危機の影響で国内経済の困難が明らかに増加した。内需拡大と経済成長の促進という中央政府の政策を確実に実行するため、各級工商当局は企業登録手続に便宜を図り、外資系企業の登録管理を改善し、その直接投資の誘致と好調な発展基調の維持に取り組んでいる。
また中国ではこれまで、外国での人民元建て決済を認めていなかったが、この度、ASEANと広西チワン族自治区、雲南省の間の貿易取引について、人民元建てでの決済を試験的に認めることを決めており、中国政府の外資に対する開放政策は、貨幣を含めて確実に変化している。
※この記事は内田総研グループ発行のメールマガジン『士業・net』の一部を加筆・修正し、許可を得て転載しています。
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明治学院大学 経済学部准教授