広東省には100万を超える企業が存在するが、そのほとんどが部品会社などの中小規模の企業である。世界的な経済危機のあおりを受け、生産停止や廃業が相次いでいるという。
中国では2009年1月1日から、さらなる調整を受けた輸出入関税が試行される。今回の調整は、最恵国税率、年度暫定税率、協定税率、特恵税率、税目などの分野にかかわる。2009年の関税総水準は2008年と同様に9.8%となるが、そのうち農産品の平均税率は15.2%、工業品の平均税率は8.9%となる。
優遇関税の実施
自由貿易協定や「アジア太平洋貿易協定」対象国の一部の輸入品に対して、最恵国税率よりさらに優遇した協定税率を実施する。香港、マカオは引き続き原産品に対してゼロ関税を実施し、41の貧困国の一部の原産品に対しては特恵税率を実施する。
輸出入管理を強化し、2009年の税則税目数は2008年の7758件から7868件に増加する。
優遇関税の効果
関税は、経済を調節するための重要なテコとなる。今回の調整で、(1)対外貿易の安定成長の保持、(2)輸出入商品の構成の改善、(3)経済発展方式の転換、産業構造調整の促進、(4)内需拡大、などの役割が期待されている。
優遇関税の内容
1. ハイテク産業発展支援のため、情報技術製品の原料の一部に対して、比較的低い暫定税率を実施する。
2. 省エネ・排出削減促進のため、一部の基礎的原材料や部品に対して、比較的低い輸入暫定税率を引き続き実施する。
3. 繊維、鋼材、化学肥料などの業種が直面する経営難緩和のため、一部の原材料に対する輸入関税を引き下げまたは取り消す。
中国が米国債を積極的に買い増している。米財務省によると、10月末の中国の米国債保有残高は前月末比659億ドル増え、6529億ドルとなった。
中国は9月に日本を抜き世界最大の米国債保有国となったばかりで、金融危機の深刻化で多くの国が米国債の買い増しに慎重になる中、積極的に買い続けている。中国の米国債保有残高は今年に入り急増し、10月末までの増加率は36.7%となった。10月には米国債659億ドルを買い増し、単月としては米国債買い増し額の最高を記録した。一方で、日本はこの間、米国債をほとんど買い増していない。
10月末現在の中国の米国債残高は6529億ドルで、引き続き日本を超えて米国債の最大保有国である。2位の日本は5855億ドル、3位の英国は3602億ドルで、中日英3カ国の米国債保有額の合計は、総額の52.5%を占めている。
中国の改革・開放でけん引役を務めてきた広東省で、中小企業の淘汰(とうた)が加速している。同省で10月、生産停止や廃業に追い込まれた中小企業が合計8513社に達し、10月だけで1〜9月の累計の7148社を上回った。
世界的な景気低迷で、輸出頼みの労働集約型企業の環境が厳しさを増しているが、中国では特に広東省への影響が際立っている。同省によると生産停止および廃業したのは電機・機械部品、紡織、建築材料など低付加価値品を生産する小規模メーカーが中心だという。
広東省で登記した企業は約100万3000社、その大半は中小企業で占められている。同省の就業人口は7000万を超えており、その約65%が中小企業で働いている。失業者の増大で社会不安が広がる恐れも指摘されており、早急な対策が求められている。
※この記事は内田総研グループ発行のメールマガジン『士業・net』の一部を加筆・修正し、許可を得て転載しています。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授