ピーク時には6000名もの開発メンバーを動員して進められた、三菱東京UFJ銀行のシステム本格統合プロジェクト「Day2」。成功に導いたのは、同社で脈々と受け継がれてきた強い「現場力」だった。
システム統合プロジェクトを指揮した三菱東京UFJ銀行の常務執行役員 システム部長を務める根本武彦氏に、プロジェクトの全容を伺った。後編では、参加メンバーを統率するための施策などを聞いた。(前編:「社員やパートナーとの強い連携で、大規模なシステム統合を完遂」)
ITmedia プロジェクト全般を通じて、参加メンバーのモチベーションを維持するためにどのような施策を打ちましたか。
根本 ES(Employee Satisfaction)、つまり現場で働く人たちの満足度を重視しました。目的や志の共有、一体感の醸成、士気高揚など全員が一丸となってチームプレーを行うためにはESは不可欠です。経営トップも現場で働く人たちを大切に考えるべきだという意識があり、そのための支援は惜しまないというメッセージももらっていました。そこで、不足していた開発センターのトイレの増設、仮眠室の手配など働きやすい環境づくりに注力しました。加えて、キックオフパーティー、だるまの目入れ式、出陣式を開いたり、PC画面にプロジェクトの愛称やメッセージを随時表示したりするなど、参加メンバーの気持ちを盛り上げる工夫をしました。
ITmedia 現場のリーダーとしてミドルマネジメントの役割が大きいと思います。ミドルの重要性は分かっているのに、多くの企業は、彼らをうまく生かしきれていません。根本さんはミドルマネジメントの重要性をどのようにお考えですか。
根本 システムプロジェクトの組織において最重要といっても過言ではないでしょう。1つひとつのシステムをつくり、動かしていく起点になっているのは現場で、ミドルはその現場のリーダーなのです。彼らがどのような目を持って実態を把握しているか、それをどのように上層部に報告するか、日常的に発生する問題に対してどう手を打つかなどは、現場のリーダーの頑張りなくしては語れません。今回のような6000人の部隊からなるプロジェクトであればなおさらです。
銀行である当社においては、システムなくして日常業務はできないし、新しいサービスも生まれません。システムの大切さを経営者含め一人ひとりが理解しており、両行の組織ともにそうした文化が浸透しています。過去から現在まで、この積み重ねがミドルや若手を育ててきたといえるでしょう。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授