結果の前には必ず原因が存在する。原因と結果の関係が因果関係だ。
問題と原因の特定には、因果関係がどう成立しているかを考えることだ。例えば、スイッチを入れると電灯が点く。ここでは「スイッチを入れる」ことが原因で、「電灯が点く」ことが結果にあたる。逆に「電灯が点く」を原因にすると、「スイッチを入れる」という結果は成立しない。
因果関係が分かりにくいものもある。「鶏が先か卵が先か」という命題が代表例だ。鶏がいたから卵が存在するのか、卵があるから鶏が存在するのか。この場合、どちらが先かは必ずしも明確ではない。
例えば、「売り上げの減少は、モラルが下がっているからだ」という主張は、因果関係の観点では必ずしも正しくない。「売り上げが下がった結果として、モラルも下がった」のかもしれない。まさに「鶏が先か卵が先か」の関係だ。原因を考える際に因果関係を明らかにしておくことは必須だ。
因果関係と似たものに相関関係がある。これらは混同しやすいので注意が必要だ。
例えば身長と体重の関係をグラフで表すと、身長が高いほど体重が重いという関係が得られる。これは相関関係であるが、因果関係ではない。
この相関関係を引用して、「体重が重い原因は身長が高いからだ」と結論づけるのは間違いだ。体重が重い原因は運動不足や食事のしすぎの可能性があるし、人によって理由も異なる。身長が高いことは体重が重いことの原因ではない。
これら3つの方法を駆使して問題を分析するのが基本となる考え方だ。
3つのパターンを理解した上で、タスクチームを円滑に進める手法として「MECE」がある。MECEは、物事の整理や分類に使う考え方だ。「漏れなく、重複なく」という意味を表す英単語「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取ったものだ。
例えば、顧客をMECEで分類、整理してみる。まず顧客を「新規顧客」と「既存顧客」に分ける。これらは顧客すべてを網羅しており、重複もない。新規・既存顧客の部分を「売り上げxxx万円以上」「売り上げxxx万円未満」というようにより細かく分類すると分析の精度が上がる。
一方、「商品Aのユーザー」「商品Bのユーザー」「商品Cのユーザー」といった分け方はMECEではない。重複して商品を使ったり、いずれの商品も使用していないユーザーもいる。つまり分類に漏れや重複を含んでおり、十分に整理できていない。
このようにMECEを上手く使うと、問題を深掘りできる。また、マーケティングにおける考え方の多くはMECEに基づいている。「4P」「3C分析」「ポーターの5つの力」などが代表例だ。タスクチームの進行にあたりこれらのフレームワーク(枠組み)を活用していくことで、問題や原因の分析が進めやすくなる。
4P:マーケティング活動を製品(プロダクト)、価格(プライス)、販売チャネル(プレイス)、プロモーション(プロモーション)の4つに分類したもの。
3C分析:市場全体を網羅するために、顧客(カスタマー)、競合(コンペティター)、自社(カンパニー)で分析する手法
ポーターの「5つの力」:新規参入企業、代替財、買い手、売り手、競合の5つの観点で市場の力関係を分析するもの
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授