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» 2009年06月12日 08時15分 公開

Webマーケティング集中講座:【第2回】Webマーケティングの現状 (2/2)

[石黒不二代(ネットイヤーグループ),ITmedia]
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ROI測定を強く重視したマーケティングに

 現在、日本で行われているWebマーケティングの中には、まだ技術的に未成熟で、これからWebセントリックマーケティングとしての完成形をみるには5年くらいの年月がかかりそうなものと、既に完成形に近いものの一部の感性の鋭い企業だけが先行者優位を目指して取り掛かり始めたものがあります。ここで重要なことは、いずれも1990年代の暗中模索のときとは異なり、かなり予測可能なものであるということなのです。


1. 企業の中には、コミュニケーションを統一するために、マーケティングという傘を通じて宣伝部と広報部、経営企画や営業部までをも含み、部門を統一する企業がでてきました(ネットイヤーグループの150社あまりのお客様の中でも2社ほどが部門統一を行っています)。

2. ディスプレイ広告よりも検索連動型広告を。この流れはROIを測定したいという企業として当然の要求から始まりました。マスからターゲットメディアへの移行は、マーケティングを科学に、という要求にほかなりません。

3. 流入施策では、大きな変革が起ころうとしています。SEM=リスティング広告の需要は高まっています。一方、代理店のマージンは、不況もあいまって、価格競争により激減しています。Googleの直販、プラットフォーマーの垂直統合も始まっています。

4. 同じく流入での新しい動きは、第3者配信です。ダブルクリックなど、いわゆるアドネットワークを使った広告主自身が広告を配信する仕組みは、米国では一般化しているものの、日本では特殊事情も手伝って未開拓分野でした。先駆者のトライアルが始まったばかりです。

5. サイトに関しては、ようやく「ロードマップ」の策定が一般化してきています。目的がないリニューアルではなく、企業戦略にのっとった数年先のあるべき姿を論議して、「サイトコンセプト」を作るやり方です。事業計画だけでなく、技術動向や業界動向などの外部環境の反映、ユーザー行動の反映、内部リソースの配分など、まさに企業戦略で考えるべきポイントをサイト戦略にも当てはめる動きが一般化してきています。

6. SEO(内部施策)は、まだチューニングレベルに過ぎません。外部リンクを張ればいいという、GoogleやOvertureのアルゴリズムを逆手にとった短期視点の施策が横行しています。一部、先駆者たちは、サイトコンセプトと連携をとり、あるべき姿を論じる際にSEOを当然のように取り入れ始めました。

7. 連携はキーワードです。マスとの連携(=クロスメディア)、デバイス間の連携にとどまることなく、オンラインとオフラインのデータベースの統合、店頭や営業、コールセンター、セミナーなど実際に顧客と接点を持つリアルチャネルとの業務連携が必要であるとの認識が出始めました。

8. 流入からWebマネジメント、業務連携、分析など、それぞれ違うパートナーが担当していた業務に対して一貫したサービスへの需要が高まっていますが、まだそれらは現れていません。

9. マネタイズのための業務連携の需要が高まっています。この連携は、企業内の連携、企業間の連携を含みます。しかしこの業務連携を誰がやるのかは議論の段階です。


 以上のように、Webマーケティングは、Webセントリックマーケティングに向けて発進し始めているのです。さらなる技術革新はこの動きを加速します。会社内、また、業界のプレーヤーはどうやら同じ方向をむき始めています。今後マーケティングはROIを重視する科学になっていくでしょう。


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1990年代後半に登場したインターネットは、今や人々の日常生活に遍在し、欠くことのできないメディアとなっています。これに伴い経済活動も次第にネット上へとシフトしつつあります。厳しい経済環境にあっても、オンラインショッピングサイトの業績が好調なのは、その証左でしょう。

伝統的な企業にとっても、ネットは極めて重要なチャネルとなっています。そして何よりも、商品の開発から製造、販売、サポートに至るライフサイクル全体にわたって、顧客とつながる仕組みとなり得るものです。今、企業が取り組むべきは「ビジネスイノベーション」です。現在のビジネスモデルに囚われることなく、また、これまで培ってきたマーケティングのやり方や組織の在り方に縛られることなく、全く新しいビジネスやサービスが求められています。今こそ、企業にとって大切な顧客との絆を築き、彼らの満足度を高め、収益へと結びつけていく「Webセントリックマーケティング」で成功を掴むときです。

本セミナーでは、ビジネスの本質的な課題を解決する、Web中心のマーケティングについて解説するとともに、それを支える技術基盤やe-マーケティングのための具体的なソリューションを紹介します。


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著者プロフィール

石黒不二代(いしぐろ ふじよ)

ネットイヤーグループ株式会社代表取締役社長 兼 CEO

ブラザー工業、外資系企業を経て、スタンフォード大学にてMBA取得。シリコンバレーにてハイテク系コンサルティング会社を設立、日米間の技術移転などに従事。2000年よりネットイヤーグループ代表取締役として、大企業を中心に、事業の本質的な課題を解決するためWebを中核に据えたマーケティングを支援し独自のブランドを確立。日経情報ストラテジー連載コラム「石黒不二代のCIOは眠れない」など著書や寄稿多数。経済産業省 IT経営戦略会議委員に就任。



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