心の対話を交わし続ける――「わが子を経営者に育てる17の極意」経営のヒントになる1冊

経営者二世に足りないもの、それは経営に関する能力や資質ではなく、本人の気付きや自信にほかならないという。

» 2009年06月20日 09時00分 公開
[ITmedia]

 帝王学とは心の学問である――。本書は数々の経営者二世を指導、教育してきた著者が、実際に彼らに語り掛けた優しい言葉でつづり、ポジティブ思考によるユニークな考え方を紹介している。

『わが子を経営者に育てる17の極意』 著者:安田龍男、定価:1680円(税込)、体裁:198ページ、発行:2008年12月、幻冬舎メディアコンサルティング 『わが子を経営者に育てる17の極意』 著者:安田龍男、定価:1680円(税込)、体裁:198ページ、発行:2008年12月、幻冬舎メディアコンサルティング

 経営者二世を育成するには、(1)経営者としての自信を養う、(2)経営者としての自覚を持たせる、(3)経営者としての日常管理を説く、(4)経営者に必要な必須能力を磨く、という4つのステップがあり、その中でリーダーとして育成するための17の極意を挙げている。

 極意の1つに「寝ないを前提にさせれば仕事がはかどる」というものがある。よく健康に関する本などで「最低でも一日6時間は睡眠を取るべき」とあるが、著者は経営者二世に対しこうした先入観を捨てて「24時間寝ないこと」を基本にすべきだと述べている。そうすることで心理的に大きな変化が生まれる。

 例えば、仕事や遊びによって睡眠時間が3時間だったとする。一般的に人々は「たった3時間しか寝られなかった」ととらえ、ネガティブな気持ちを抱く。しかし、眠らないことを前提にすれば「3時間も睡眠できた」と幸せな気分になれるはずだという。ちょっとした発想の転換や行動の変化が、優れたリーダーになれるかどうかの分かれ道となる。

 本文に引用されている調査によると、経営者の子息が後継者になることを拒む理由の1つに「自分には経営する能力や資質がない」ということが挙げられている。これに対して著者は「本人に能力や資質がないわけではなく、自信を持てずにそう思い込んでいるに過ぎない」と指摘する。裏を返せば、彼らにそのことを気付かせ自信を持つきっかけを与えれば、経営者としての一歩を踏み出せるというわけだ。そのためには、彼らと同じ目線で語り、決して押し付けでない心の対話を重視した生育が不可欠だという。

 オーナー経営者や経営者二世のみならず、子どもの教育方法を模索する人たちにも響く一冊といえよう。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆