今年3月にはWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)日本代表が2連覇を達成したことが国民の関心事となった。第2回WBC大会期間中に日経平均は1054円上昇し、これは3年前の第1回大会期間中の上昇幅832円を上回った。WBCは株価や景気に元気を与えてくれた。WBC人気は今年のペナントレースにも影響が出ているようだ。パ・リーグでは人気ランキング上位の3チーム、ソフトバンク、楽天、日本ハムが5月末現在、すべてAクラスだ。田中将大投手やダルビッシュ有投手が7勝で勝ち星トップになるなど、WBCに出場した選手の活躍も大きい。
セ・リーグは人気1位の巨人が首位にいる。交流戦前に38試合目で貯金を15とし、その後30勝一番乗りを果たした。38試合以内で貯金を15とした過去14回はすべて優勝している。仮に日本シリーズが交流戦優勝のソフトバンク対巨人になれば人気ランキング合計は5以下なので、今秋は景気回復局面であることを示唆するデータになる。日本ハム対巨人では合計は4、楽天対巨人では合計3と、ともに5以下だ。
一方、米国経済をみると5月分の失業率が9.4%になるなど、大変厳しい状況にある。しかしそれなりの政策対応もなされ最悪期は脱しつつあるようだ。金融機関へのストレステストの結果は市場には好意的に受け止められたようだ。米GMは破産法第11条申請となったが、ショックは何とか吸収可能とみられる。景気対策の効果や不良債権買い取りプランの効果などが期待される。ISM製造業景況指数が12月分を底に5月分まで5カ月連続改善するなど明るい兆しも出てきている。
ア・リーグ東部地区では開幕当初出遅れた人気球団のヤンキースが5月末時点で首位に立っている。昨年は14シーズンぶりにプレーオフ進出を逃したヤンキースが強いことは明るい社会現象だ。
日本では、景気に対し先行性がある「景気ウォッチャー調査」の現状判断DIが5カ月連続で改善した。景気動向指数・先行CIは3月分・4月分で2カ月連続増加になった。このような先行指標からみて、足元底打ちした景気は水準が低くても当面回復傾向になりそうだ。
新型インフルエンザ騒ぎは一服の感がある。その影響は気になるが、5月分景気ウォッチャー調査のコメントなどで確認すると、足元は弱含み材料だったが致命的な悪材料にはならず、むしろ先行き判断ではわずかにプラスに働いていると言えるだろう。
6月6日にサッカー日本代表がワールドカップ南アフリカ大会出場を世界で一番早く決めたことも、心理面からの景気の下支え材料になりそうだ。
宅森昭吉(たくもり あきよし)
「景気ウォッチャー調査研究会」委員。過去に「動向把握早期化委員会」委員、「景気動向指数の改善に関する調査研究会」委員などを歴任。著書は「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社)など。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授