昨年秋の「リーマンショック」以降、厳しい状況が続く日本経済。この閉塞感を打ち破るジンクスが年末のレコード大賞に隠されているという。
2009年1月9日に発表された2008年11月分景気動向指数・速報値は、先行CIが前月と比較し3.7ポイントの大幅下降、一致CIは前月比で2.8ポイントの大幅下降となった。内閣府の一致CIを使った景気の基調判断は「悪化を示している」で前回の結果と変わらなかった。
先行CIは2カ月連続の下降で、前月差3.7ポイントという下降幅は、4.0ポイントの統計史上最大の下降幅だった10月分に次ぐものとなった。また、一致CIは4カ月連続の下降で、前月差2.8ポイントは、統計がある1975年2月分以降で最大だった2008年8月分の2.9ポイント下降に次ぐ史上2番目の下降幅となり、足元の景気の急激な悪化を示している。
一方、参考系列の先行DIは2カ月連続0.0%になった。これは金融機関の大型破たんが生じた1997年11・12月分以来のことで、先行きの景気の厳しさを示唆するものである。また、一致DIは史上初の3カ月連続の0.0%になった。すべての系列が3カ月連続で悪化するという異常事態に陥っている。DIは景気悪化の浸透度を示すが、3カ月連続0.0%と足元の景気の厳しさを裏付けている。
10月分以降の経済指標は、金融危機の影響による急激な悪化を裏付けるものが多い。金融危機により、米国の主要産業である自動車業界も変調をきたし、実体経済にも悪影響が波及してきた。自動車などの日本の輸出産業も打撃を受けている。内閣府の「景気ウォッチャー調査」の最近の動きをみると自動車産業を抱える東海地方や九州地方での悪化が深刻だ。11月調査で東海地方が日本中で一番厳しい景況感の地域になってしまった。
2008年10〜12月期の鉱工業生産指数前期比は、過去最大の落ち込みであった第1次石油危機時の1975年1〜3月期マイナス6%台の減少を大きく更新し2ケタの減少の可能性がありそうだ。
12月調査の日銀短観で大企業・製造業の業況判断DIはマイナス24となり、2003年3月調査のマイナス38以来の弱い数字になった。9月調査まで比較的落ち着いていた在庫水準判断DI、生産・営業用設備判断DI、雇用判断DIの各データも12月調査で「過剰超」幅が拡大した。
当分かなり厳しい数字が出てきそうだ。景気動向指数12月分の先行CI(速報値)の採用10系列では、日経商品指数、東証株価指数、長短金利差、中小企業売上見通しDIの4系列はすべて前月差寄与度がマイナスの系列になることが、これまでのところ判明している。
なかでも日経商品指数・前年比は11月分のマイナス8.4%から12月分はマイナス14.2%に、また中小企業売上見通しDIは11月分のマイナス27.6%から12月分はマイナス35.7%に大幅に悪化したため、それぞれ前月差寄与度が1ポイントを上回る大幅下降が見込まれる。このため12月分先行CIの前月差も3カ月連続して大幅な下降が予測される。
また、12月分の先行DIでは、日経商品指数、長短金利差、東証株価指数、中小企業売上見通しDIの4系列はすべてマイナス符号であることが既に確定している。12月分先行DI速報値は、0.0%以上60.0%以下が現時点で確定しているが、12月分先行DIは3カ月連続して0.0%の可能性が大きい。
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明治学院大学 経済学部准教授