――日本企業ならではの強みはありますか。
森 サービス業で中国進出している日本企業はあまり多くはありません。メーカーであれば商品そのものが強みになりますが、サービス業だと日本のビジネスコアを持っていること以外は何もありませんので、中国市場で戦いながら勝ちパターンを見つけていくしかありません。そこで倒れないタフさというのがリクルートの強みでしょうか。
駐在員にもよく「(野球に例えて)剛速球やファインプレーはいらないが、イレギュラーバウンドなどどんな球でも捕れ。とにかく倒れずに耐えろ」と言っています。求めているのはこの強さなのです。
中国でビジネスの成功パターンを作ることは、日本でビジネスの成功パターンを作るよりも時間がかかることを覚悟しなければなりません。現状でのリターンは日本より少ないと思いますが、10年先、15年先を考え、長い目で見ないと成功はできないと思います。
――現地社員のマネジメントに難しさを感じる企業は多いようです。リクルートではどのように取り組んでいますか。
森 とても難しい課題であり、わたしたちもトライアンドエラーを繰り返しています。重要なのは、中国人のマネジメント層を育てるときに、リクルートのコア部分をどう移管していくかという点です。例えば、日本人が通訳を通して「これがゼクシィだ」と言葉だけで中国人に伝えても、コア部分の移管はうまく進みません。リクルートでは、日本語のできるリーダーを日本で数ケ月研修させて中国に戻すということを繰り返し、マネジメント層の社員と入れ替えながら、少しずつ組織を作っています。
――今後の展望をお聞かせください。
森 まずは上海を中心にビジネスモデルを確立していき、次の成長曲線が描ければ、内陸部の都市を見据えてビジネスを展開していきたいと考えています。一商品だけで大きな利益が出るものではないので、一つ一つの都市で確実な利益を出すビジネスモデルを作っていきたいです。
今までは日本のビジネスモデルを横展開してきましたが、ローカライズした商品作りや優秀な現地社員の積極登用など、中国独自の成功パターンを見出さないといけません。早期段階で今わたしが務めているポジションも中国人に代わっていかねばならないと思っています。もっとローカル人材だけでビジネスを回す必要があります。トップが中国人になれば、さらにビジネススピードは速くなるはずです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授