「ロシアという名の道場で修行に打ち込め」――ソニーの現地法人社長【後編】Executiveインタビュー

学生のころより極真空手に打ち込むソニーCISの日比社長は、ロシアを“道場”と呼び、すべてのプロジェクトに“闘魂”の文字を刻む熱血経営者だ。

» 2009年06月18日 11時00分 公開
[聞き手:伏見学,ITmedia]

 インタビュー前編:「国家への強力なコミットメントなくしてロシア攻略は不可能」


 ソニーのロシア現地法人・ソニーCISの日比賢一郎社長は、学生時代から極真空手を続ける凄腕経営者だ。「道場」「修行」「闘魂」といったキーワードを前面に押し出しながら、部下のマネジメントに対する思いを語った。


1000日の修行をやり遂げろ!

――リーダーとして日比社長が部下の育成やマネジメントで心掛けていることは何ですか。

日比 ロシアをわたしたちは“道場”と呼んでいます。ビジネスも生活も非常に厳しくのんびりしていられません。その分勉強できることは多いのです。ソニーCISの日本人社員は基本的に3年間の駐在が1つの区切りになるため、「1000日の修行」ととらえて、苦しいことや楽しいことをすべて学びなさいと常々言っています。その1000日の修行を終えて道場を卒業するときには、立派な人間としてどこへ行っても通用する能力が身に付いています。わたしが学生時代から空手を続けていることもあり、卒業の証として黒帯を贈っています。

 実際には黒帯自体に価値はありませんが、さまざまな思いが込められているため、受け取った人たちは皆大切にしてくれます。そうしたものをもらうと新天地で働く上での自信にもつながります。そのためにも1000日間は遮二無二なって苦労しろと言っています。最近の若い人たちはねじり鉢巻きで仕事するのは格好悪いと思うでしょう。しかし世界情勢を見ても、今こそ鉢巻きを絞めて頑張らないといけません。

“ロシア道場”を巣立っていく社員には黒帯が贈られる。左がソニーCISの日比賢一郎社長 “ロシア道場”を巣立っていく社員には黒帯が贈られる。左がソニーCISの日比賢一郎社長(写真は同社提供)

 社員にプロフェッショナル意識を持たせることも重要です。修行といいながらも給料を貰っているわけで、社員はプロ意識を持って会社に貢献するべきです。3年経ったときには自信を持って「わたしはこれをやり遂げました」と言えるようにならなければいけません。これは日本人だけでなく、ロシア人に対しても同じことを言っています。

 一番重視するのは「スピリット」。ビジネスは強い意志に尽きます。特に新興市場はどれだけ伸びるか誰も先が読めません。意志と戦略的なビジョンを持つことがロシアのような市場で成功するかしないかの明暗を分けます。ソニーCISの社是は「闘魂」で、すべてのプロジェクトにこの言葉が記されています。とにかくスピリットを持って前進すれば必ず朝日が来ると、社員たちに訴えかけています。こうした経済状況において、特にわたしのような立場であれば、ビジョンを考え社員に示していかねばなりません。社員を不安にしてはなりません。


――こうした考え方は、長年ロシアで仕事をしてきたことで培われたのですか。

日比 ソニーで20年以上働く中で、色々な国で経験を積んできました。異文化から学ぶことは大きいと実感しています。例えば、ロシアで働くにはコミットメントが不可欠だということを教えてくれたのが現地の人たちなのです。

 本当に自分は現地にコミットメントしているかどうか、同じ視点で物事を考えられるかどうかについて、ロシア人の部下から多くを学びました。彼らの代表として恥じないように心掛けていれば、当然こうした行動を取るようになるのです。

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