積極的なグローバル展開によって売り上げ拡大を図るファーストリテイリング。それを支えるプロモーション戦略に迫る。
昨年に創業60周年を迎えたアパレル大手のファーストリテイリングが打ち出す経営ビジョンは明快だ。2020年にはカジュアル衣料品「ユニクロ」を全世界で4000店舗に拡大し、連結売上高5兆円のうち3兆円を海外事業で稼ぐ計画だ。この数字は現在の海外売上高の80倍以上に当たる。それほどまでに海外市場の開拓に精魂を傾けている。
ただし目標達成までの道のりは決して平坦ではない。日本では広く知られるユニクロだが、海外での認知度は高いとは言えない。世界各国の消費者にその存在をアピールするためには、現地マーケットに根ざした徹底的な広告、PR戦略が不可欠だ。
ユニクロのプロモーション活動を世界規模で統括する、グローバルコミュニケーション部 部長 クリエイティブ・マネジメントディレクターの勝部健太郎氏に取り組みを聞いた。
ITmedia グローバルコミュニケーション部とは、どのような役割を担っている部門なのでしょうか。
勝部 ユニクロは長らく国内で事業展開してきましたが、グローバル化を推し進め、現在では世界中に店舗を出しています。そうした活動を強化すべく、広報やマス広告、Webプロモーションなど顧客との接点であるコミュニケーション機能をグローバルで統括して、2008年11月に新設された部門です。
直近の例では、昨年10月のグローバル旗艦店「パリ オペラ店」のオープンに先駆け、パリの地下鉄駅をジャックしたり、路線バスに広告をラッピングしたりするなどして、現地の人々がユニクロを身近に感じるような取り組みを行いました。加えて、特設サイト「UNIQLO FROM TOKYO TO PARIS」やWeb広告「UNIQLOCK」といったWebを活用したプロモーションにも力を入れました。
パリでの成功要因は、過去にニューヨークやロンドンで出店するときに培ったノウハウをすべて集約できたことでした。ニューヨークでも市内を走るタクシーにラッピング広告したり、交通広告を展開しました。
ITmedia 今後新しい地域に出店する上で、蓄積したノウハウというのは横展開できるものでしょうか。
勝部 できるはずです。各エリアの事情もあるため、そっくりそのままというわけではありませんが、例えば、パリで通用したことがほかの国では通用しなくなるということはありません。
一方で、日本で通用することは世界では必ずしも通用しないのです。日本ではほぼすべての人たちがユニクロを認知していますし、全国で約790店舗を展開しているため、わずかな力でレバレッジが効きやすいのです。海外では店舗数が少ないしユニクロを知らないことが前提です。
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明治学院大学 経済学部准教授