“ハイサワー”の博水社は、創業時からレモンの品質にこだわり味を守る一方で、ノンアルコールビールなど時代に合わせた新商品も積極的に展開している。3代目社長・田中秀子さんが考える、同族企業の経営において守るべき点、変えるべき点とは?
日本の酒業界は、今、未曾有の危機を迎えている。「飲みニケーション」文化の衰退、若者のお酒離れ、生活者の買い控えなど、その逆風は強烈だ。しかし、そうした過酷な経営環境をものともせずに善戦している企業がある。「わるならハイサワー」のCMでお馴染み、ハイサワーのメーカーである博水社だ。今回は、その3代目社長・田中秀子さんのインタビュー後編をお送りする。
前編では、定番である焼酎だけでなく、日本酒、ウイスキー、ワイン、泡盛、ジンなど、実に多くのお酒を割ることができる、ハイサワーならではの豊穣な世界についてお聞きした。そして、そもそもハイサワーという清涼飲料水がどのような経緯の中から生まれてきたのか、博水社の激動の歴史の一端をうかがった。
後編では、上記3重苦の業界にあって善戦している田中秀子3代目社長が、どのような経営・リーダーシップを行っているのかについて、“不変”“革新”“同族経営”の3つのポイントを中心に聞いていこう。
→あなたの知らない“ハイサワー”の世界――博水社社長・田中秀子さん(前編)
初代がラムネを製造・販売する田中武雄商店を立ち上げたのが1928年。会社組織にしたのが1952年。そして先代がハイサワーを開発したのが1980年。実に80年を超える長い歴史を刻みながら、清涼飲料水一筋に歩んできた博水社の歴史を眺めると、そこには、一本筋が通っていることが実感される。現代のように、環境変化が速く、振り幅が大きな時代にあっても、それが微動だにしていないことに驚かされる。
経営環境がどんなに変化したとしても、同社として、決して変えてはいけないことは何なのか? 田中秀子さんにお聞きしてみた。
「創業者の田中武雄のときから受け継がれている家訓があります。それは“口に入れるものなので、味はインチキしてはいけない”ということ。これは何があっても決して変えてはいけない、弊社の『不変』の部分です。
ハイサワーが誕生して30年間、例えばレモン果汁に関しては、イタリア・シシリー島の信頼すべき生産契約農家が栽培しているレモン以外は一切使用していません。さらに、農薬や苦味を出さず、最高のおいしい果汁だけを出すために“ファーストラン”(=一番搾り)以外は、決して使いません。コスト的には厳しいものがありますが、しかし、最高のレモン果汁へのこだわりは、何があっても、絶対に変えません」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授