企業の構成に「2:6:2の法則」がある。優秀な社員2割と、平凡な社員6割、そして問題ありの社員2割。平凡な社員と少し能力の劣る社員で合計8割占めている。この8割を底上げできれば企業は躍進する。トッププレイヤーの2割だけに頼るよりもはるかに効率が良い。先ほどのトータル・リワードを実現するには、「共通言語化」「見える化」「優先順位化」を徹底することである。
共通言語化は、あいまいな言葉を用いないことだ。いつまでに(日時)、何を、誰と誰が、どれぐらいを(数量)、どのように(いくつの過程を経るか)、どうするのかなど、数値化できる明確な表現をする。
見える化は、言葉ではなく視覚に訴えかける方法である。難しい仕事でも作業の一連の流れを写真やイラストで示すことで、誰もが簡単にできるようになったケースは数多い。スポーツアスリートのようにイメージトレーニングをして、頭の中で最高のパフォーマンスを描くのは、まさに見える化に近い発想である。
優先順位化は、複数の作業を同時に進める場合に優先順位の決め方を理解しているのとしていないのでは成果に大きな差が出るというものだ。すべての行動を分析して優先順位を割り出していく。
これらを実行する上で重視しなければならないのは、結果を追い求めることよりもプロセスを重視することである。組織にとって望ましい行動をとっているか、それを継続しているかがポイントである。結果だけにフォーカスすると、最も大事なプロセスを見逃してしまう。いい結果が出ていないということは、望ましい行動ができていない、続けられていないということだ。それを是正するための手段が、先ほどの共通言語化、見える化、優先順位化である。
ダイジェストで説明したが、真理はシンプルである。行動を科学するというところに視点を切り替えてほしい。行動の集積がビジネスの結果を生み出すのだ。
わたしは、セミナーや研修、認定講座を定期的に開き、行動科学マネジメントの活用を広めている。ビジネスはもちろんのこと、パーソナルなセルフコントロールなど各分野で大きな成果が現れている。
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石田淳(いしだ じゅん)
社団法人行動科学マネジメント研究所所長
マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院エグゼクティブコース修了。株式会社ウィルPMインターナショナル代表取締役社長兼最高経営責任者。日本の行動科学(分析)マネジメントの第一人者。アメリカのビジネス界で大きな成果を上げる行動分析、行動心理を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジし「行動科学マネジメント」として展開。
著著に「続かない女のための続ける技術」(サンクチュアリ出版、監修)、「組織が大きく変わる最高の報酬」(日本能率協会マネジメントセンター)、「短期間で組織が変わる行動科学マネジメント」(ダイヤモンド社)、「超!部下マネジメント術」(インデックス・コミュニケーションズ)、「続ける技術」(フォレスト出版)、「すごい実行力」(三笠書房)など。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授