IBMBCが、2年に1度行っている「Global CEO」スタディの結果を公表した。日本のCEO v.s. 世界のCEOという意味で興味深いものだった。
IBMビジネスコンサルティング(旧プライスウォーターハウスクーパース、IBMBCと略す)が今年の7月に2年に1度行っている「Global CEO」スタディの結果を公表したが、8月になり、日本のCEOと海外のCEOの調査結果がかなり違っていたので、その部分に関する説明会を10日に開催すると聞いたので参加した。何でも、例年行っている調査では、グローバル調査と日本企業の調査結果ではそれほど大きな差異はないのだが、昨年行った調査では顕著な差が認められるとの話だ。
まあ、本音で言うと日本にはCFO(最高財務責任者)はいないという自説を持つ僕だが、欧米的なCEOもいないだろうから至極当然では、と半ば興味本位で話を聞いた。
今回発表されたレポートの中でグローバル調査の結果と日本ローカルの結果が著しく異なっている項目は以下の5点だ。
上記以外にも数多くの設問が設けられていたが、いずれもグローバル調査と日本のCEOに関する回答ではそれ程大きな違いはなかったという。
1の違いについて、IBMビジネスコンサルティングは、日本企業は環境分野で欧米やアジア諸国の企業と違い技術的にも相当なリードを保っているのでビジネスチャンスととらえているためではないかとの分析を語った。
2および3に関しては、伸び悩む国内市場を背景に海外へ活路を見出そうとする企業の動きが背景にあると分析している。
4の人材に関する問題意識は世界的にも関心は高いが、日本企業は前記した海外進出に関する課題に加え、この回答の中には記さていないが、求められるリーダーの資質としてグローバル、日本ともに創造性が1位だが、それ以降の構成が全く異なっている。日本は2番目以降、グローバルな思考、熱心さ、持続可能性に対する関心、誠実さとなっているが、グローバルな調査では、誠実さ、グローバルな思考、影響力、寛大さとなっている。
これらから、日本では既存のさまざまなしがらみにとらわれず、自由な発想で、新技術、製品、サービス、市場開発に臨み、諦めることなく熱心に持続できる人材が望まれているのに対し、海外ではクリエーティブな姿勢で且つ、何にでも誠実に取り組み、業界や自社内で影響力を発揮できる人物が求められている。
前者は有能なサラリーマン像に通じる所があるし、後者は優秀な経営者を連想させるのは僕だけだろうか。
最後のグローバルとローカル市場の取り組みに関してだが、この設問に関する回答でグローバルと日本の調査では最も大きな差異が認められた。
IBM・BCCは、この結果に対し、海外の企業はおおむね海外市場を最初から意識して、ビジネス展開を考えるが、日本の企業は大きな国内市場に支えられている。そのため、海外に対する意識がもともと低い。1990年代以降、国内市場の停滞でも、自動車産業を中心に旺盛な海外市場中でも米国の市場拡大に支えられてきたが、リーマンショック以降はそれも怪しくなり、本格的な取り組みを余儀なくされた。その現れだというものだ。
最後に同社は日本の経営者は「かつてない、経営環境の変化」に見舞われていると結論づけた。
僕は同社の見解はおおむね正しいと思うが、今後については、かなり悲観的な見解を持っている。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授