ここで「環境変化」という言葉の内容がいまひとつ明確ではないので、ちょっと整理する。環境変化には1)字義通り、「自然環境の変化」という意味、各国が競争政策を取り入れた結果、貧富の格差が拡大した社会環境の変化、グローバル化、地方経済の衰退に代表されるように経済の構造変化、今迄世界経済を引っ張ってきた先進諸国がBRICsの台頭に見られるように世界的な経済構造の変遷がある。
ただし、議論を日本に限ると、まず、日本の国内市場規模は少子高齢化による人口減少で確実に規模が縮小する。次にいわゆるグローバル化の影響だ。内外の競争の激化により、会社を維持することも大変になってきている。新技術への対応や効率的な生産方式の採用も企業の存亡がかかっている。環境への対応は、今の処日本の企業にとって有利だが、これも手放しで喜んでいられる訳ではない。ドイツや韓国、中国の企業はすぐに追いついてくる。
中でも日本の経営者にとって最も頭の痛い問題はグローバル化への対応だ。国内市場が縮小し、海外企業からの圧力が高まるなら、ちょっとくらいリスクを賭けても海外に活路を見出すしかないのは当然の選択肢だ。
今回の調査でも、欧米、日本、アジアなどのカテゴリーで最も重視する課題で、日本だけがグローバルを2番目に挙げた。日本のCEOはグローバルという課題はほかの国より困難なテーマだ。
ただし、これに関しては、自らが招いた結果という側面を否定できない。日本の企業は歴史的に国内を担当した人が社長になってきた。僕の知る限り、海外の事情に詳しい人たち、言い換えれば英語をしゃべれる人たちが社長になれた試しがない。
もちろん、現地子会社出身の人が社長になるケースもまれだ。ソニーのハワード・ストリンガー氏が数少ない例外で、それ以外では日本板硝子のスチュアート・チェンバース氏が社長に就任したが、わずか1年で退任した。
こんな状態では、日本のマネジメントにグローバライゼーションを語る資格はないと思うのだが、どうだろう。楽天の三木谷社長が社内の公用語を英語にすると発表して話題になったが、果たして言葉だけを英語にしてグローバライゼーションは解決するのだろうか。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授