産業能率大学が「ビジネスパーソンのグローバル意識調査」という調査結果を発表しました。海外志向の低さはやはり今後の日本のリスクといえそうです。
前回に続きですが、産業能率大学が「ビジネスパーソンのグローバル意識調査」という調査結果を発表しました。少しご紹介したいと思います。
「海外で働きたい」人の割合を役職別に見た場合、部長クラスでは57.1%であったのに対し、一般社員では29.3%にとどまりました。産業能率大学はこれについて、「部長に登用されている人材は組織へのコミットメントや挑戦意欲が強い」「海外派遣がさらなるキャリア向上につながるチャンスだと考えている」といったことが要因になっていると指摘しています。
留学経験の有無も影響しており、留学経験がある層では60.5%が海外志向を持つ一方、ない層では半分の29.7%にとどまりました。なお、子どもの有無ではほとんど差がなく、男女別だと男性が35.9%、女性が30.3%となり、大きな開きはありませんでした。
特に注目すべきデータは、海外で働きたくない理由です。1位は「海外勤務はリスクが高い」で51.5%、「自分の能力に自信がない」が50.7%で2位でした。
この理由を見て、将来の日本に不安を感じる人は少なくないでしょう。今後の日本企業の多くは嫌でもグローバル化を迫られそうです。既に日本のお家芸である輸出業が東アジアを中心とした国々の攻勢に押されていますが、長期的に見たときに、海外企業からの影響は当然これだけでは済みません。
家電などの耐久消費財のみならず、食品、住宅、衣料品など、内需型とよばれる一般消費財の領域にまで、一定の品質を持った低価格品を提供する海外企業が深く入り込んでくる可能性は十分あります。
内需縮小による経済低迷が日本企業の競争力を低下させるという負のスパイラルを招けば、さらに、競争力に勝る海外企業が日本市場に相次いで参入します。国内需要が奪われ、既存の日本企業が倒産に追い込まれるという結果につながることは想像に難くありません。つまり、日本のリスクは、人口減少による内需不足だけでは済まないということです。
結局、日本の多くの企業は海外企業と戦わざるを得ない運命にあるようです。そのときに、海外勤務はリスクが高い、能力に自信がないと多くの企業人が考えているのでは、長い目で見て勝ち目がないように思えます。
肝に銘じなくてはいけないのは、なんとなく今まで通りの経済状態が続くという感覚は幻想であるということです。高度成長期からバブル期を経て、現在にいたるまでの仕事への感覚もいったん入れ替えた方がいいかもしれません。なんとなく仕事をしていれば成長するといった感覚は通用せず、仕事の細かい部分での詰めの甘さが常に致命傷になり得ます。個人が仕事に厳しくなることが、世界と戦う上での大前提になるでしょう。
こんな振りかぶっておきながら、詰めの甘さが問題の自分にまずは言い聞かせてみます。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授