仕事が忙しくなっているにもかかわらず、会社の利益が出ない、給与が上がらないというケースが増えています。例えば、インターネットの黎明期には数千万円したWebサイト制作費。サイトを構築するソフトウェアやサービスが普及し、誰でも作れるようになると、サイト制作費は瞬く間に安くなりました。現在は、数万円でサイトを制作するサービスもあります。これは、まさに「スキル価値」の超デフレです。
しかしスキル価値が急低下する一方で、顧客の要望は高くなっていきます。提供しなければならない機能も増え、サポートにも手間がかかります。つまり、年々、忙しくなるのに、利益は減っているという現象に陥るのです。
これは景気のせいばかりではないのです。世の中が総フラットにつながり、あらゆる情報サービスが無料で提供される世の中において、商売の地図が大きく変わってしまったからです。昨年まで元気だった産業や稼げた職業が、突然死する可能性が高い世界になっています。こうした状況では、業務の効率化は根本的な解決になりません。もちろん、やらないよりはマシですが、延命措置程度の効果しかありません。
真っ先にやらなければならないのは、「顧客が求めている本当の価値とは何か?」を再検討することです。「競合が増え、低価格競争になった時」「自動化が当たり前になって、人による作業が競争力を失った時」こそ、新しい価値を創造する必要があります。つまり、このケースも「時間管理の問題」と見せかけて、実は「価値管理の問題」なのです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授