日本のIT企業は完全に蚊帳の外に置かれているが、世界では相変わらず企業買収が活発だ。もともと、買収で企業成長を促すというのはCisco Systemsのように技術革新が活発に行われた一部の業種に限られていたが、HPやOracle、IBMなどの大手IT企業が企業買収に積極な姿勢に転換した結果、あるいは、GoogleやAmazon、e-Bayなどインターネット系の新興企業が業績を伸ばす中でICT業界地図は様変わりした。
成長する市場、つまりインターネット関連を除くと、ハードウエアの価格は相対的に低下し、パッケージソフトウエアの価格も単価が低くなるか、ネットで提供される安価なサービスにより取って代わられようとしている。つまり、既存のビジネスモデルは明らかに縮小しているのだ。
その結果、市場規模がそれほど拡大しない中で、競争が激化し、企業買収により成長を持続する、あるいは敵を淘汰するという結果が生じる。
既に、日本市場はいざ知らず、世界的にはハードウエア・プラットフォーム・ビジネスではIBM、HP、Dell3社の寡占体制は確立したといって過言ではない。(日本を代表するコンピュータベンダーである富士通はDellの半分の売り上げしかない)
ソフトウエアプラットフォームでも確かにOracleは圧倒的な地位を確保しているが、インターネットとサービスが融合した「クラウドコンピューティング」の時代になると、その地位が安泰とまでは言えない。
このような中で、取り敢えず買収はしたもののいまだお荷物の域を出ないハードウエア部門を再生させることはOracleにとって急務なのだ。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授