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» 2010年10月08日 08時00分 公開

学ぶべきことの多かった初開催のユースオリンピック小松裕の「スポーツドクター奮闘記」(2/2 ページ)

[小松裕(国立スポーツ科学センター),ITmedia]
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いつもとは違った日本選手の行動

 このような交流プログラムの影響もあったのか、今回特に目に付いたのが、選手村で積極的に他国の選手たちとコミュニケーションをとる日本の選手たちの姿です。今までのオリンピックでは、日本の選手たちは自分の部屋にこもりがち、日本選手団だけで固まりがちでした。これには「英語が話せない」という言葉の問題もあると思いますが、「英語が話せなくてもコミュニケーションがとれる」ということを分かっていなかったのかもしれません。しかし、今回の大会では村の食堂で他国の選手と一緒に食事をしたり、談笑したり、練習の約束をしたりと、スポーツという共通言語を積極的に使って交流していました。

 さて、今回の大会で日本選手は金メダル9個、銀メダル5個、銅メダル3個の計17個のメダルを獲得、素晴らしい成績を収めました。何よりも将来日本を背負って立つ若者たちにとって、金メダルを目指して戦うこと自体が大きな財産になったと思います。

 オリンピックというのは独特の雰囲気があります。イベント規模の大きさだけでなく、慣れない選手村での生活、体調管理の大切さ、日の丸を背負う責任の大きさなど、経験した人間でなければ分からない重みがあるのです。その雰囲気を当事者として味わえただけでも今後の大きな力になることは間違いありません。

 今後、ユースオリンピックは2年後にオーストリアのインスブルックで冬季大会が、4年後に中国の南京で夏季大会が開催されます。今回は日本でもそれほど大きく報道されなかったようですが、これからはメディアももう少し取り上げてくれたらうれしいなあ。

 オリンピックが単なるスポーツイベントにとどまらず進化を続けていること、世界平和や地球環境に貢献しようとしていることなど、この大会の意義やIOCの思いに深く共感すると同時に、これから世界で堂々と戦っていく日本人を育てるためにやるべきことが見えてきた、意義ある2週間でした。


世界を駆け回るドクター小松の連載「スポーツドクター奮闘記」、バックナンバーはこちら



著者プロフィール

小松裕(こまつ ゆたか)

国立スポーツ科学センター医学研究部 副主任研究員、医学博士

1961年長野県生まれ。1986年に信州大学医学部卒業後、日本赤十字社医療センター内科研修医、東京大学第二内科医員、東京大学消化器内科 文部科学教官助手などを経て、2005年から現職。専門分野はスポーツ医学、アンチ・ドーピング、スポーツ行政。



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