若年層を対象にした史上初の「ユースオリンピック」が開催されました。この大会では通常のオリンピックにはない、素敵なプログラムも用意されました。
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国際オリンピック委員会(IOC)が新設した「第1回ユースオリンピック夏季大会」が8月14日から26日までシンガポールで開催されました。全世界205の国や地域から14歳〜18歳までの約3600人の選手が集いました。日本からは16競技71人の選手が参加しました。
わたしは日本選手団の本部ドクターとして帯同し、初めて開催されたこの大会の意義を改めて強く感じることができました。
ユースオリンピックはジャック・ロゲIOC会長の提唱で実現しました。スポーツのさまざまな意義を認識し、スポーツによる人間形成、世界平和を掲げる「オリンピックムーブメント」を世界の若者に理解してもらおうと開かれました。ロゲ会長は開会式で、「試合に勝つにはゴールにいち早く到達するだけでよいが、チャンピオンになるには、体の鍛錬だけでなく人格も磨かなければならない」と語りました。
この大会の大きな特徴は、競技以外に「文化教育プログラム」という企画が設けられていたことです。通常のオリンピックでは、選手たちは競技の日程に合わせて選手村に入り、競技が終わるとすぐに帰国します。今回は、各国の選手団全員が開会式前から選手村に入村し、閉会式まで残ることを義務付けられました。競技が終わった選手たちはIOCが企画したさまざまな文化教育プログラムに参加し、他国の選手と交流し、地球とスポーツの問題、オリンピックの意義や世界の文化の多様性などを学びます。
具体的には、オリンピックで活躍した世界のトップアスリートと間近に接し対話セッションを行う「チャンピオンと語ろう」、一日がかりでシンガポール沖の無人島へ行き、いかだづくりやロッククライミングなどを通じて、世界の仲間とのチームワーク、信頼、友情を培う「アイランドアドベンチャー」、地球の環境問題や水について考える「探検旅行」などのプログラムが用意されていました。
競技によっては大陸別などで他国とチームを組んで戦う団体戦なども行われました。例えば柔道では、ランダムに選ばれた男女混合8人のチームによる団体戦が行われていました。その日初めて会った選手でも戦っていくうちにチームワークが芽生え、仲間の勝利を喜び、言葉の壁を越えて友情や連帯感が生まれていく様子が分かりました。スポーツという世界共通のルールを持った文化の価値を改めて認識しました。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授