米IT調査会社Gartnerのシニアバイスプレジデントで、ガートナーエグゼクティブプログラムのデール・カトニック氏に話を聞いた。
「2015年までに新しいGlobal2000企業のほとんどで、ITの毎年の収益によってCIOの年俸が決定される」
こう話すのは、米IT調査会社Gartnerのシニアバイスプレジデントで、ガートナーエグゼクティブプログラムのデール・カトニック氏だ。
企業におけるクラウドコンピューティングの普及などにより、サーバの管理やアプリケーション開発といった業務が相対的に減るため、CIOを含めたIT部門の役割が今後急速に変化すると考えられる。
カトニック氏によると、今後のCIOは、ITを活用していかに自社に収益をもたらすかを問われ、そのための活動をするため、当然ながら「新たに生まれた収益に相応する金銭的要求をするようになる」という。
一方で、IT以外の事業部門のエグゼクティブは、そうした新たな収益が生まれても、「それを生み出す活動をITの管理下に置かないように働きかける」といった見方もある。だが、クラウドの登場で「インフラ屋」ではいられなくなったIT部門は今後、「プロフィットセンター」への脱皮を求められる可能性は高そうである。
では、どうやって収益化するのか。これについては、Gartnerの複数のアナリストも明確なアイデアを持っていないようだ。大枠のイメージとしては、「消費者の集団的行動に新しい構造が出現する」ことがポイントになる。イメージでいえば、現在ならFacebookの台頭から分かるように、ソーシャルアプリケーションが生み出す新たなインターネット上の集団との関わり方を考えること、といえる。
こうしたビジネスのソーシャル化についてカトニック氏は「テクノロジーの問題ではない」と指摘する。FacebookやTwitterでは、従来はなかった形で人と人がつながり始めている。「午後5時からセールをやります!」とTwitterにメッセージを投げることで、従来ならセールの情報を受け取れなかった人がそれを見て来店を検討し、さらにその情報をリツイートという形で、インターネットの不特定多数に向けて発信する――。これも、新たな人と人のつながりの形といえる。
同氏はこうした「つながり方」が進化するにつれて、集団の在り方に新たな構造が出現するのだと指摘する。それが「集合的なインテリジェンス」にさらに進化した姿を見た者はおそらくまだいないと考えられる。騒がれているとはいえ、まだまだソーシャルアプリケーションの利用者は少数派。「コップの中の嵐」がコップをはねのけて本当の嵐になったとき、ソーシャル化が導く集団的行動の形やすばらしさや怖さがかいま見えるかもしれない。
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明治学院大学 経済学部准教授