『ニューヨーク北部地方出身のフランクW・ウールワースは、1878年、最初の5セントストアを開きました。この時、販売員としての自身の経験に基づいたコンセプトを採用しました。販売員として働いている際、ウールワースは、消費者は1つ5セントで売られている商品を眺めている時、店員からのサービスはほとんど必要としていないことに気が付きました。そのため、彼は「Woolworth’s nickel and dime empire(ウールワースの5セントストア)」を、セルフサービス、低価格、低賃金を基本として立ち上げました。
チェーン店に低価格製品を調達するために、ウールワースは世界中を旅し、低価格の装飾品や小型機器、ボタンなどの大量生産品を購入しました。また、1893年の深刻な不況により、ウールワースは革製品を含むストックの拡大が可能になりました。彼の運営原理は「通常、基本的な家庭用品の場合、値段は製品の価値よりも重要である」というものでした』
ウールワースは自らの独自の発想で5セントストアを開いたのですが、これがいわゆる「セルフサービスによる商品の低価格化」を実現させたのです。ウールワースは、まさに低価格の立役者といえるでしょう。
『1895年、リチャード・ウォーレン・シアーズは、最初のシアーズ・カタログである「ブック・オブ・バーゲン(低価格品を掲載した通信販売カタログ)」を使って、低価格品を一般の消費者が購入できるよう通信販売ビジネスを始めました。前述のウールワースのように、シアーズは独自の供給プロセスを確立し、その中に複数の製造業者を組み込みました。このコンセプトは米国のチェーン店数の増加とともに広がりました。その結果、1920年の時は5万件だったチェーン店は、1929年には14万1492件にまで増加しました。そして、そのほかのディスカウント文化の立役者達も、その後に続いたのです』
シアーズは通販ビジネスを用いて、ディスカウント文化を広げています。ウールワースにしてもシアーズにしても自分の独自のアイデアを用いてこの業界で成功を収めています。
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明治学院大学 経済学部准教授