『チェーン店と低価格ベンダーのおかげで、平均的な米国人は手頃な価格で製品を購入できるようになりました。しかし、ディスカウント・チェーン店の問題点を指摘する批判の声も生まれはじめました。ディスカウント・チェーン店に反対する人は、品質や低価格製品がもたらす影響に疑問を抱きました。また、チェーン店と独立店は互いにいがみ合うようになりました。1920年代になると、従来の小売業者とその支持者は、ディスカウント・チェーン店の経営者は地元の商人から仕事を奪った冷酷な人間だと主張しました。さらには、小売商協会の理事は、大量生産により作られた低価格品は、労働者個人の仕事の価値を下げており、消費者の購買力を分断させていると批判しました』
ディスカウント店による「価格破壊」は庶民に低価格で商品を提供できるという利点の反面、経済活動に支障をもたらすといった、ほかの売り手からの批判を生み出す結果となってしまいました。
『1920年代のチェーン店への反発により、米国民の7%を代表する300の全国組織および地域組織が反対運動を支持する用になりました。しかし、第二次世界大戦後、次のような要因によりディスカウント産業は急成長を遂げることになります。
1. 戦後好景気
ドワイトD・アイゼンハワー大統領の政権時代は繁栄の時代でした。好景気により、中流階級のアメリカ人は娯楽やエンターテイメント、ステータスシンボルのために時間を費やすことが促進されました。
2. テレビ
1948年から1953年の間、テレビを所有するアメリカ家庭の数が35万戸から2500万戸へ増加しました。ディスカウント企業にとって理想的な媒体であるテレビコマーシャルの影響で、手頃な価格の製品への需要が高まりました。
3. コンピュータ化
テクノロジーによって、製品の製造や輸送が飛躍的に改善されました。
ユージン・ファカウフは、1948年マンハッタンの倉庫を使ってEJコーベットを創業しました。ファカウフは、まず低価格の革製品を扱うことから始め、その後、原価より多少上積みした価格で家庭用品を販売するようになりました。大量に販売することにより、大きな利益を得るようになったファカウフは、ニューヨーク郊外に進出し、1950年代にはロングアイランドに複数の店舗を構えるようになりました。そのほかのKマート(元SSクレスゲ)やJCペニー、ターゲットなどのディスカウント・チェーン店も1950年代から1960年代に繁栄しました。また、従来の小売店もディスカウント・チェーンを立ち上げるようになったのです』
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この本の詳細
経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授